大国民は現状を維持することができない

大国民は現状を維持することができない

私が生まれた1971(昭和46)年3月23日は、ベトナム戦争の真っ只中でした。

当日の読売新聞(朝刊)にも、米軍機がベトナムに向けて沖縄の基地から飛び立った、という記事が記載されています。

むろん、生まれたばかりの私には、ベトナム戦争が米国の事実上の敗北で終わることなど知る由もありませんでしたが、さすがの米国もあの敗戦以降、軍事・経済ともに落ち目となっていきました。

これは聞いた話ですが、1970年代後半に米国に渡ってその現状を目の当たりにした日本人のなかには「米国はもう回復できないのではないか」とまで言う人が少なくなかったといいます。

ところが1980年代に入ると、レーガン大統領が登場してまもなく米国は軍事・経済両面で復活し、1990年代になると対局にあったソ連が崩壊して冷戦が終結しました。

米国にはCSIS(戦略国際問題研究所)というシンクタンクがあります。

そこの専務理事を勤めたレイ・S・クラインはキューバ危機の際にはCIA分析官としても活躍した経歴をもっていることで有名なのですが、彼は1975年に『世界の「軍事力」「経済力」「比較」(World Power Assessment)』の研究・調査にとりかかり、その後1981年に発表されたのですが、調査結果は「ソ連が敗北した最大の要因はレーガン大統領の名によって実行されたSDI構想だった」と結論づけました。

SDI(Strategic Defense Initiative)とは、別名スターウォーズ計画とも称され、「(米国国民が安心して暮らせるようにするため)ソ連のミサイルが米国に到達する前にそれを迎撃し破壊する防衛網を構築する」という構想です。

その防衛網を宇宙にまで広げようとしたために、「スターウォーズ計画」と称されました。

SDI構想に対し、むろんソ連は対抗措置として凄まじい軍拡を試みましたが、残念ながら国内の供給能力(潜在GDP)が追いつかず、結局は経済崩壊するに至ってしまったと言われています。

米ソ冷戦の終結により、政治経済学者のフランシス・フクヤマが、かの有名な『歴史の終わり』(1989年、ナショナル・インタレスト)という論文を発表するほどに、世界は米国による1極秩序時代が到来することになります。

ところが、フランシス・フクヤマの予測に反し、残念ながら「歴史」は終わりませんでした。

2003年のイラク戦争、2008年のリーマン・ショックを契機にして米国は軍事力も経済力も共に退潮することとなり、米国1極秩序時代は陰りをみせ現在に至っています。

ニコロ・マキアヴェッリが言うように「いつの時代でも盛者は必滅であり、国家は上り坂にあるか、下り坂にあるかのどちらかである」のが歴史の理(ことわり)です。

フリードリヒ・リストも同様に「大国民は現状を維持することができない」「それは発展するか衰微するかのいずれかである」と言っています。

我が祖国も然りで、1979年には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界に言わしめたほどに経済的繁栄を享受しましたが、1990年代に入って以降は凋落の一途をたどり、いまや「失われた30年」とさえ揶揄される始末です。

皆さんは不思議に思いませんか?

この30年間、日本の政治では「改革」が断行され続けています。

それなのにどうして、改善されるどころか「失われた30年」と揶揄されるほどに我が国は没落しているのでしょうか

ある人は「まだまだ改革が足りないからだ…」と言うだろう。

しかしながら、バカも休み休み言うべきです。

この30年間、「改革」という名のネオリベラリズム(新自由主義)政策が、明らかに日本をダメにしたのです。

その馬鹿げた改革を「もっと続けろ…」と言うのか!