私は令和7年3月定例会(予算審査特別委員会)において、道路インフラの整備に関して質問を行いました。
その中で、川崎市における都市計画道路の整備状況が、他の大都市と比較して著しく遅れている点を指摘しました。
とりわけ、市道における「4車線道路」の整備距離は、川崎市が約21kmにとどまっている一方で、隣接する横浜市では約103kmに達しており、市域面積を考慮してもその差は大きく、こうした整備の遅れが都市のにぎわいや開発力の差に反映されていることを問題提起しました。
私はまた、道路は単なる移動手段のためのインフラにとどまらず、災害時には避難路・救援路・延焼遮断帯として機能する「命を守るインフラ」であることを、改めて強く訴えました。
特に、能登半島地震における復旧・復興の遅れを踏まえ、「次の災害に備えるためにも、高速道路ネットワークの強化は不可欠である」との認識を強調したかったのです。
むろん川崎市も、高速道路ネットワークにおいて重要な役割を担っています。
たとえば、「東京外郭環状道路(外環道)」が「東名高速道路」まで接続されることは周知のとおりであり、現行計画ではさらに延伸され、第三京浜道路に新たなジャンクションが建設され、その後、首都高速湾岸線までつながる見通しです。
このとき、外環道を大師ジャンクション経由で川崎縦貫道路と接続するのか、それとも東京都が希望していると聞く既存の東海ジャンクションにつなぐのかは、本市にとって極めて重要な政策判断となります。
そこで私は、川崎市がこれまで整備を進めてきた「川崎縦貫道路」と、現在建設が進められている「外環道」との接続構想について取り上げ、以下のような具体的な事項を質しました。
・関越道〜東名間の事業主体が、国土交通省と東日本・中日本高速道路会社であること
・総事業費が約2兆3,575億円であること
・車線数が6車線であること
・調布市域での工事が、地盤陥没事故の影響で中断していること
さらに、福田市長および藤倉副市長(所管副市長)に対して、将来的に第三京浜や首都高速湾岸線まで接続させる構想の必要性を訴えるとともに、国および東京都との協議の現状と川崎市としてのスタンスについて質しました。
これに対し、市長・副市長ともに「川崎市にとって外環道との接続は都市機能の強化および災害対応能力の向上の観点から極めて重要であり、今後も国・東京都との協議を積極的に進めていく」と明言しました。
特に福田市長は、川崎縦貫道路と外環道の「一体化」も視野に入れて検討していることに触れ、「調査検討を進めていく」と前向きな姿勢を示しました。
都市の利便性と安全性を高めるためには、長期的な視野に立った道路整備の推進が不可欠です。
ただし、最大の課題は財政負担です。
仮に川崎市側、すなわち川崎縦貫道路経由で首都高速湾岸線に接続する場合、その整備費用の大部分は川崎市が負担することになります。
一方、東京都側(環状8号線地下)からの接続であれば、東京都がその費用の多くを負担することとなります。
このため、東京都も川崎市も積極的に手を挙げられないという事情があるのです。
本来、このような大規模インフラの整備にあたっては、国が主導して資金負担を行うべきですが、「税は財源」「貨幣は金銀のような実物資産である」といった誤った財政観や貨幣観が、国の財政的役割を制限し、必要な公共投資を妨げています。