不正受給を見抜けなかった定期監査

不正受給を見抜けなかった定期監査

去る11月、川崎市で認可保育所を運営している事業者が、市内で運営する全ての認可保育所等において、実態と異なる勤務時間等に基づく運営委託費等の不正受給が行われていたことが発覚しました。

ところが今回の発覚は、東京都の目黒区役所が当該法人の運営する保育所において不正受給があったことを公表したことを受け、本市が行った随時監査で確認されたものです。

随時監査…

本来であれば、こうした案件については随時監査ではなく「定期監査」により発見、指摘されなければならないはずです。

もしも目黒区による公表がなかったなら、未だに同事業者の不正受給を発見できないままでいたことは誠に残念です。

なぜ、本市は定期監査で確認することができなかったのか、私なりに仮説をたてますと、定期監査にあたる人員不足が原因の一つではないかと推察します。

市内の民間保育所は、この間増加の一途をたどっており、例えば平成30年度は314施設だったものが、本年度には429施設となり1.4倍も増えています。

また、保育所以外にも監査対象施設は児童養護施設等多岐にわたります。

こうした増加する民間保育所等の監査対象に対し、本市の指導監査はどのような対応の経過をたどってきたのか、12月19日の一般質問で当局に質問しました。

答弁よると、監査事務職員は平成30年度以降に4人増やしたらしいのですが、それでも総勢11名体制で429施設もの監査を行っているとのこと。

ところが、どうやらそれでは足りないというのが現実のようで、対象施設に対して事前提出資料の作成を依頼するなどして事前点検を行っているという。

その上で「運営全般が良好な施設においては、基本的に1日で実施する監査を、半日で実施するなどして増加する施設に対応している…」とのことでした。

ご承知のとおり、その運営全般が良好な施設の中に、運営委託費等の不正受給をしていた事業者が含まれていたわけです。

そもそも事前に資料提出を求めること自体が、監査としてどうなんでしょうか。

それこそ良好に運営している事業者側にとっては余計な負担ですし、どうせ不正が見抜けないのであれば事前に提出させる意味もない。

行政の人手不足を事業者の負担によって補おうとするのはいかにもせこい。