「有事を想定すること」が危機管理や安全保障の基本

「有事を想定すること」が危機管理や安全保障の基本

コロナ危機によって明らかになったように、大阪における医療崩壊の要因は府内の医療機関が徹底的にリストラされたことに尽きます。

問答無用で赤字の施設は廃止され、黒字の施設は民営化されました。

府立病院の予算は大幅に削減、府立健康科学センターは廃止。

府立公衆衛生研究所と府立環境科学研究所は統合縮小され、千里救急救命センターへの補助金も大阪赤十字病院への補助金も悉く廃止されました。

赤字黒字にかかわらず、補助金はすべて無駄の対象とされたのです。

これだけ医療や公衆衛生関連の供給能力が毀損されれば、コロナ・パンデミックに対応できるわけがない。

2020年4月3日付のツイッターで橋下徹氏は「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など、そこはお手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」と、ご本人も反省の弁を述べられています。

経世済民を追求する政治行政において「有事を想定すること」は危機管理や安全保障の基本中の基本になります。

京都大学大学院の藤井聡教授によると、橋本氏は大阪府知事時代、就任以来の7年間で1,551億円もの府の財政支出をカットしたとのことです。

結果、大阪府の税収は年平均で2,000億円が減ってしまいました。

因みに橋下氏が就任する以前(2007年)の税収は1兆4,260億円でしたが、7年後の2014年には1兆2,021億円まで落ち込んでいます。

川崎市もそうですが、税収は市内GDPに相関し、市内GDPは行政の歳出額に相関しますので、行政が歳出を削減すれば税収が落ち込むのは当然です。

例えば堺市においても、もともと財政問題など存在していないにもかかわらず、根拠もなく『堺市財政危機宣言』を発して緊縮財政(財政危機脱却プラン)を断行してしまいました。

やはり、歳出削減→市内GDPの落ち込み→税収の落ち込み、というプロセスを経て市の税収を落ち込ませてしまい、本当に財政危機に直面する結果に至ったといいます。

こういうのを「自己実現的予言」といいます。

要らぬ歳出カットで市内経済を疲弊させたのですから、きっと要らぬ企業倒産や失業を招いたことでしょう。