公共事業費を減らした唯一の先進国家

公共事業費を減らした唯一の先進国家

きのう気象庁は、15日夜から16日午前中にかけて発達した雨雲が帯状となり、九州南部と北部に大雨をもたらす恐れがあるとして「線状降水帯」の予測情報を発表しました。

その予測通り、昨日の明け方から鹿児島県内には活発な雨雲が流れ込み、北薩地域を中心に大雨となりました。

県などの雨量計によると、伊佐市で1時間に109ミリ、さつま町でも92ミリの猛烈な雨を観測したらしい。

伊佐市大口の牛尾地区では、羽月川の支流・牛尾川から水が溢れ、住宅の床下や田んぼが浸水したと報道されています。

私たち日本国民は、この時期になると毎年のように豪雨災害に怯えなければならない事態に直面しています。

どうしてでしょうか?

私たち日本国民の先祖たちは、国土にはたらきかけることで、国土から得る恵みを享受してきたにもかかわらず、現代を生きる私たちの世代は、この20年の間、それを怠ってきたからです。

近年、海水温の異常な上昇等を背景として、豪雨災害が頻発しています。

京都大学大学院教授の藤井聡先生によると、実際、時間降雨量80mmを超える頻度が、この30年で一気に1.7倍にまで増大しているという。

にもかかわらず、冒頭のグラフのとおり、この20年間にわたり我が国は政府による土木投資を激減させてきたのです。

これを「愚か」と言わず、何と言うのでしょうか。

このように言うと必ず「経済が成熟したのだから、公共事業費を減らすのは当たり前だ」などと主張するお〇〇さんがいますが、〇〇は休み休み言ってほしい。

米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアなど、いわゆる先進国は着実に公共事業を増やしており、公共事業を減らしてきた日本との差は歴然です。

例えば2018年の時点においても、英国やカナダの公共事業費(対GDP比)は日本の6倍以上、米国は4倍ちかく、フランスは3倍以上、同じ敗戦国のイタリアやドイツでも2倍以上の差をつけられています。

因みに、韓国は我が国の5倍の水準です。

公共事業費の削減は、私たち日本国民を毎年のように災害の危機に晒しているだけではありません。

国家の競争力そのものをも衰退させ、我が国を発展途上国化させています。

一般的に土木などの公共事業の効果は、フロー効果とストック効果の二つの効果に分類されます。

フロー効果とは、公共事業を行うことで資金(キャッシュフロー)が市場に注入されることを通じて経済が活性する(GDPが増える)効果のことです。

一方、ストック効果とは、公共事業によって構築されたインフラ(資本ストック)がもたらす経済効果です。

まさに資本ストックの蓄積こそが、その国の生産力(モノやサービスをつくる力)を決定します。

愚かにも我が国は他の先進国に比べ公共事業費を削減しつづけてきたわけですから、資本ストックの蓄積、即ち生産力(経済力)の面においても大きく水をあけられて当然です。

かつて我が国の「一人あたりGDP」は世界第2位でしたが、今や28位まで後退しており、まもなく韓国に抜かれる予定です。