狙われる日本の防衛関連企業

狙われる日本の防衛関連企業

岸田総理は、この連休をつかって東南アジア及び欧州を訪問しています。

きのうはローマ教皇に謁見し、その後、バチカンの国務長官(日本では首相にあたる)とも会談したらしい。

その席で岸田総理は「核兵器のない世界に向けてバチカンと協力していきたい」という旨を述べています。

核なき世界が果たしてバラ色な世界なのかどうかは別にして、まことに皮肉なことですが、その前々日(5月2日)にタイを訪問した岸田総理は、プラユット・ジャンオーチャー・タイ王国首相兼国防大臣との首脳会談で「日タイ防衛装備品・技術移転協定」を結んでいます。

両首脳は、具体的な移転案件の協議を今後進めていくことで一致したとのことです。

さて、「防衛装備品・技術移転協定」とは、要するに自衛隊が使用している装備品をタイに売ることができるという協定です。

因みに、あくまでも協定なので(条約ではない)、国会の承認は必要なく首脳同士の政治決断で締結可能です。

ここでいう装備品とは、輸送機(C-2など)や護衛艦のほか、防弾チョッキやヘルメットや双眼鏡などの小物も含まれますが、F35戦闘機やイージス艦は売却できません。

なぜならF35やイージス艦は純国産品ではないからです。

ご承知のとおりF35は米国から購入しているものであり、イージス艦については国内(日本の防衛産業)で生産していますが主要部品やその心臓部は米国が開発したものであり、未だブラックボックスになっています。

輸送機C-2や護衛艦は日本国内で開発・生産されたものですので、武器輸出三原則が一部緩和された2014年以降は輸出可能となりました。

このたび日本が結んだ「防衛装備品・技術移転協定」は、タイを含めて12ヶ国目となります。

これまで締結した国々をみると、やはり経済と軍事が表裏一体であることを痛感します。

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧米先進諸国及び貿易相手国に加え、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどの中東から運ばれてくる石油タンカーなどのシーレーンに隣接する国々、そして対中包囲網の一角をなし天然ガスの輸入先であるオーストラリアとも当該協定を締結しています。

今後もさらにこうした締結国を増やしていかねばなりません。

なぜなら防衛力の肝は、防衛に関わる装備品や技術を自前(国内)で開発生産できることにあるからです。

例え軍隊を保有していたとしても、そこで使われる武器や技術はすべて外国に依存しています、では話にならない。

にもかかわらず、日本の防衛産業は極めて厳しい状況に追い込まれています。

それは、販売先が自衛隊(防衛省)しかないからです。

買い手が少なければ少ないほどに、売る側よりも買う側のほうが立場が強くなってしまうのは当然です。

少ないどころか、自衛隊(防衛省)以外に競争相手がいないわけです。

その防衛省が安く買い叩いて防衛産業いじめをしているのですから、防衛産業が産業として成立するわけがない。

例えば、1台の戦車を生産するのに、およそ1000社の下請け関連企業が携わっていますが、請け負った防衛関連企業(元請け)としては10〜15%の利益率がないと事業を継続することが困難らしい。

欧米の政府は、国内の防衛関連企業が少なくとも10%の利益率がでるように契約しています。

これは、農産物の国産化を維持するために、即ち食料安全保障の一貫として、政府が高い価格で農家から農産物を購入しているのと同じ理屈です。

一方、日本政府(防衛省)は出費を抑えに抑えているために、防衛関連企業の利益率は2〜3%程度となっています。

しかも納入に際しても、我が国の防衛省の納入基準はやたらと厳しいらしく、重ねたら天井に届くのではないかと揶揄されるくらいの申請書類を提出しなければならないという。

防衛省に売っても手間ばかりかかって全く儲からない防衛関連企業は、やむを得ず防衛事業から撤退することになります。

ご承知のとおり防衛産業においても、そこで支えられている技術はコンマ単位のまさに職人技です。

当然、そうした職人をもっている中小企業を買収したい外資や外国政府が暗躍しています。

即ち、日本政府が緊縮財政でカネをケチっていると、我が国の防衛関連企業が外国政府や外資に買収されてしまう可能性が高まるわけです。

ロシアのプーチン大統領が日本の防衛関連企業に目をつけているのは有名な話で、ロシアの財閥・オリガルヒに買収させようと虎視眈々と狙っています。