ワクチン・ツーリズム

ワクチン・ツーリズム

8月3日時点でのワクチン接種率は71.77%。

G7の中でダントツに最下位を走る日本。

ダントツに最下位である理由は、むろんダントツでワクチン承認と接種開始が遅れたからです。

ワクチン確保を海外に依存しているとはいえ、速やかに承認されてさえいればワクチンの確保に支障を来すこともなかったのでしょうから、「国内でワクチンを開発できないから…」というのは遅れた理由にはならない。

そもそも我が国の政府には国内で開発しようという気概(カネを出す気)などないし、なお国民的にも他国に比べ治験に対して非協力的なのは歴然たる事実です。

そんな国で、最先端のワクチンを他国に先駆けて開発するなど不可能です。

何よりも、他人種国家である米国において既に大規模な治験が済んでいるにもかかわらず、滑稽なる日本人種特殊論をもちだす専門家も顕れ、あまつさえ反ワクチン派に媚びた「慎重論」も相まって、国会での「改正予防接種法」成立時に全会一致で「海外の事例を踏まえ慎重に承認しろ…」という付帯決議がつけられたことは実に残念です。

この国会での付帯決議こそが、日本でのワクチン接種が遅れた最大の要因です。

結果、集団免疫獲得の遅れがデルタ株という変異体の感染拡大を許し、医療体制を逼迫させています。

またしても『緊急事態宣言』の延長と対象地域が拡大されたばかりですが、今度は『まん延防止等重点措置』の適用地域に、福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の8県を追加されました。(期間は8月8日から31日まで)

危機を想定していない戦後体制が、危機に対していかに脆弱であり、その最大の被害者は国民であることを日本国民の多くが身を持って知るに至ったと言えます。

さて、米国では、ワクチン接種を目的に大金を使って渡米する人が相次いでいるようです。

上のグラフのとおり、米国では人口の半数近くが2回目のワクチン接種を終えている計算になりますが、彼の国では国民の一定層に根強い反ワクチン派がいることから接種率が伸び悩んでいます。

そうしたなか、接種率の低い国からワクチンを接種しにくる観光客が多いという。

いわゆるワクチン・ツーリズムです。

米国では住民でなくともワクチンを無料接種しているので観光客は簡単にワクチンを打つことができます。

例えば、サンフランシスコ国際空港では…
①現在COVID-19にかかっていない
②他の新型コロナワクチンを受けていない
③18歳以上
という3つの条件を充たしている人なら誰でも通関後に無料でワクチンが受けられます。

この空港だけで、5月以来、50ヶ国以上からきた乗客の約1000人がワクチンを接種しているという。

とりわけ、ワクチン確保がままならず接種率の低いラテンアメリカ、アジアからのワクチン・ツーリズムが多いらしい。

南米諸国の接種率は未だ20%で、アジア諸国は約10%、アフリカではなんと1.5%です。

さすがに日本からのワクチン・ツーリズムはないようなので安心しましたが、もしも顕れたとしたら、我が国は名実ともに発展途上国です。