夏の参院選が近づいて参りました。
国民からの信頼が歴史的なほどに地に落ちている自民党。
このままでは参院選での敗北は必至。
石破内閣は「小泉劇場」なる虚構を利用して必死に支持率の回復をはかっていますが、それも今ひとつ。
そこで、苦し紛れに放った浅知恵が「2040年までに名目GDPを1,000兆円にすること、及び平均所得を現在の5割以上に上昇させること」で、これを公約の第一に据えるらしい。
まこと、苦笑するほかない。
消費税の減税でさえ、あるいはガソリン税の暫定税率一つ廃止できない自民党が今さら何を言っているのでしょうか。
呆れてモノを言う気も失せるのですが、そもそも1997年の消費税増税から緊縮財政をはじめて、四半世紀にわたるデフレ経済をもたらしたのは自民党政権です。
これがなければ今ごろ、わが国の名目GDPは1,500兆円を優に超えています。
なのに、今から15年後(2040年)にやっと1,000兆円ですか?
まず何よりも、国民を貧困化させたことを政権政党として素直に反省すべきでは…
それを「15年後に名目GDPを1,000兆円にしますので、どうか選挙で勝たせて与党のままでいさせてください」と言っているわけです。
しかも「2040年の名目GDP1,000兆円」は、さほどの経済成長ではありません。
そもそも、どうして目標値が物価変動分の影響を受ける名目なのでしょうか。
ふつうは実質でしょうに。
まあいいです、百歩譲って名目GDPを目標値として試算してみましょう。
2024年の名目GDPは610兆円で前年比3.0%の増でした。
物価上昇率(GDPデフレーター)は2.9%。
もしもこのままの経済水準で推移したとすると、だまっていても15年後には名目GDPは950兆円に達します。
これを仮に、名目GDPを前年比「3.4%」増で推移させると、15年後に1,006兆円となります。
要するに石破総理は「名目GDPの成長率3.0%(現水準)を3.4%(0.4%増)にします」と言っているわけです。
しかも名目ですから、ここには物価上昇率も含まれます。
このことがいかに陳腐であるかお解りでしょうか。
例えば、わが国の高度経済成長期の名目GDPは、毎年10〜17%増で推移していました。
まったく桁がちがうのであります。
要するに石破内閣(自民党政権)は「これからも減税する気はないし、緊縮財政をやめる気もない」と言っているに等しく、それが自民党の公約の第一だと言うのです。
これからの日本は生産年齢(15〜64歳)人口比率が低下していくからこそ、労働移民を受け入れることなく、生産性向上により国内供給力を拡大していくことにより、再び高度経済成長(実質GDPで5%増、名目GDPで10%増、GDPデフレーター5%)を実現することは充分に可能です。
しかしながら、財務省の犬となり、現在の緊縮財政路線を継承することが確実な自民党政権が続くかぎり、高度経済成長は夢のまた夢です。
少なくとも「名目GDPを2040年に1,000兆円…」などというショボい数字は、選挙での撒き餌にもなっていません。
何度でも言いますが、自民党が緊縮財政をやっていなければ、わが国の名目GDPはとっくに1,500兆円を超えていたのです。