投資なくして成長なし

投資なくして成長なし

日本経済は低迷を続けています。

ここで言う日本経済とは実体経済(GDP)のことで、株価の上昇とは関係がありません。

例え、どんなに株価が上昇しても、実体経済が成長しなければ実質賃金は上昇しません。

そもそも現在の日本の株式市場は、株の3割を保有する外国人投資家が市場の7割を動かしており、実体経済の動向とは無関係に変動しています。

なので、株価が上昇しているから日本経済はいい、などと理解してはならない。

内閣府が公表しているデフレギャップ(内閣府はGDPギャップと呼ぶ)をみても、マイナス(デフレ状態)は明らかです。

ちなみに内閣府のGDPギャップ統計は、できるだけデフレギャップが小さくみえるように計算されていますが、それでもマイナス(デフレ)が続いているのでございます。

では、なぜ日本経済(実体経済)は成長できずにデフレ状態が続いているのでしょうか…

まず、経済が成長するためには、誰かがおカネを借りて投資するという行動が必要です。

これこそが資本主義の真髄であり、投資しない経済は絶対に成長しません。

我が国全体の投資状況を示す「総固定資本形成」をみますと、直近のピークはなんと1996年(48兆円)です。

それ以降、下がり続け、現在(2022年時点)は26兆円ですので、約22兆円もの投資が減ってしまっているわけです。

ゆえに、もしも1996年並みに48兆円の投資額に戻すことができたなら、日本経済は4〜5%の成長が確実ということです。

48兆円にするためには単純計算で22兆円が足りないわけですが、その額はちょうど現在の実質的なデフレギャップに値しています。

ただ、2000年以降の企業投資だけをみますと、その投資額はほぼ横ばいで推移しています。

つまり企業は、バブル崩壊でつくった巨大な借金を返済しつつ、増やしはしなかったものの最低限の投資を行ってきたことが伺えます。

にもかかわらず「総固定資本形成」が22兆円分も不足しているのはなぜか?

むろん、その分、政府が公共投資を減らしてきたからです。

いつも言うように、国民経済は「誰かの支出が、誰かの所得になる」ことで横につながっています。

よって、政府の支出もまた、必ず誰かの所得になります。

それを、「政府の支出(公共事業)は無駄が多い…」などというレッテルが貼られ、四半世紀ものあいだ抑制され続けてきたのです。

そもそも「無駄」の定義が不明確なのですが、政府が支出を減らせば着実に誰かの所得が減ります。

これでGDPが増えるわけがない。

とりわけ、昨年(令和5年)6月23日に公布された「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、財源確保法)は、実に致命的です。

財源確保法とは、要するに「何らかの支出を増やすためには、財源を明確に確保しなければならない」という趣旨の法律です。

そして、ここで言う「財源」とは増税と歳出削減のことであり、国債発行は含まれていません。

プライマリーバランス黒字化目標は閣議決定が法的根拠になっていますので、閣議で「目標を破棄する」と決定すればそれで終わりです。

それに対し、財源確保法は法律です。

すなわち緊縮財政が法律によって根拠をもってしまったのです。

これを求めたのは財務省であり、それを認めたのは自民党です。

さらに自民党は恐ろしいことを考えています。

憲法に「財政均衡=緊縮財政」を明記しようとしています。

もはや自民党体制下では、財政政策の転換は不可能なのかもしれません。