新百合ヶ丘総合病院に三次救急の許可が下りない理由

新百合ヶ丘総合病院に三次救急の許可が下りない理由

麻生区にある新百合ヶ丘総合病院は、三次救急(最もハイレベルな救命救急医療に対応)に必要な人員と機器と技術を確保し、神奈川県知事の許可さえあれば直ぐにでも稼働できる体制を整えています。

ところが、許可権者である神奈川県知事が、認可するかしないかの審議を地域の医療利害関係者らによって構成される「川崎地域地域医療構想調整会議」に委ねているため、なかなか許可が下りません。

解りやすく言うと、その地域に新しいコンビニを開設する際、ライバル経営者で構成されるコンビニ業界に「その開設を許可するかしないか」の権限をもたせているようなものです。

その会議録をみると、例えば「三次救急を認めると二次救急が手薄になる…」とか、「医療人材の奪い合いが起こる…」とか、本当に起こるかどうか分からないような理由で反対されており、少なくとも一般市民には自分たちの権益保護のようにしか映りません。

もし実際にそのような事態が発生したら、速やかに許可を取り消せばいいだけの問題かと思います。

因みに、三次救急になったら二次救急の患者を受け入れなくなることはありえないと医療経営の専門家は言っております。

おそらくは、反対する人たちの本音は患者を奪われるのが怖いからではないでしょうか。

要するに二次救急は患者数からも病院にとっては重要な収入源だからという理由です。

因みに、患者に二次救急患者とか三次救急患者とか印がついているわけではありません。

むしろ三次救急になると設置基準の上からも優秀な医療スタッフが大幅に増えますので、二次救急患者の受け入れ能力は格段に上がるはずです。

即ち、新百合ヶ丘総合病院が三次救急対応してくれることになれば、川崎市北部の医療体制のレベルは着実に向上するはずです。

あるいは反対派が主張する「医療人材の奪い合い…」については、憲法上の職業の選択の自由を無視するに等しい発言です。

よりよい条件の医療機関で働きたいというのは医師や看護師等にとって当然の権利です。

そのために病院経営者は日々努力すべきであり、医師や看護師が働きたくなるような病院を認めないという時代錯誤の発言にはただただ唖然とせざるを得ません。

神奈川県知事は法的に与えられた権限を遵法どおりに行使し、自らの判断に基づき速やかに新百合ヶ丘総合病院に三次救急の許可を下ろすべきです。

それをせず、地域の医療利害関係者らによって構成される「川崎地域地域医療構想調整会議」に決断を丸投げしているのはあまりにも無責任だ。