飢餓は他人事ではない

飢餓は他人事ではない

きのうから4年ぶりとなるWTO(世界貿易機構)閣僚会議がスイスのジュネーブではじまりました。

議題は、新型コロナワクチンの特許一時放棄について、水産資源の乱獲につながると批判される漁業補助金について、ロシアのウクライナ侵攻で懸念が高まる食糧危機への対応について、といったところでしょうか。

とりわけ、ウクライナ危機の影響によって世界的な食糧不足が危惧されている中、食糧輸出の制限を原則禁じるWTO協定の順守を盛り込んだ閣僚宣言が検討されているようです。

ロシアは黒海からの穀物輸出を封鎖するなどして世界的な食糧不足を戦略的に活用しており、国連FAO(食糧農業機関)はウクライナの作物エリアの30%が作付けされていないか、もしくは収穫されないと推定しています。

ロシアとウクライナからの穀物輸入に特に依存している中東や北アフリカでは、既に他の発展途上国以上に深刻な食糧難に陥っている国があります。

例えばイエメンやシリアでは長年にわたる紛争と低迷する経済もあって食糧入手が困難になっていますし、レバノンでは食糧価格が過去3年間で既に1000%以上も上昇しているなど、これらの国々はウクライナ危機以前に既に食糧難に喘いでいます。

また、消費小麦の多くをウクライナやロシアからの輸入に頼ってきたアフリカ諸国においても、ここ数年、洪水や旱魃、バッタの大発生、新型コロナなどの影響で食料価格が高騰していたところにウクライナ危機が追い打ちをかけています。

アフリカでは、とくにソマリア、エチオピア、スーダン、南スーダンなどが深刻な食糧不足に直面しています。

北アフリカのチュニジアなどでは、財政難ゆえに政府の食糧サプライヤーへの支払いが滞っているらしく、民衆は高い失業率に苦しみ、政情不安に怯えつつ食糧難に直面しています。

WTOが食糧の輸出規制を禁じたところで、背に腹は代えられないため、いざとなれば食糧の抱え込みに走る国が続出することは必至です。

おコメ以外の穀物を米国、カナダ、オーストラリアなどのアングロサクソン国に依存している我が国においても食糧危機はけっして他人事ではありません。

食糧自給率を引き上げる努力を明らかに怠ってきたのですから、その報いを受けるのは私たち日本国民です。

とくにこれまで「日本の農業は過保護にされすぎているぅ〜」というデマを垂れ流し、それを盲信してきた人たちの罪は重い。

実態はまったくの逆で、世界でもっとも農家のセーフティネットが欠如していたのが我が日本国なのです。

例えば欧州の主要国では、農業所得の90%以上が政府からの補助金です。

米国でも農業生産額に占める農業予算の割合は75%を超えます。

日本は両指数とも30%台であり、先進国では最低レベルです。

欧米、とくに先進国では、安全保障にかかわる産業を国民全体で支えるのが当たり前です。

農業政策は農家保護政策ではなく、あくまでも国民政策を支える「安全保障政策」だと考えられています。

今からでも政策転換をして食糧安全保障を確立してほしい。

むろん、そのための財源は国債発行(通貨供給)でいい。

※当該ブログでは、「食糧」は主食の意で使用し、「食料」は食べもの全般を指しています。