PFIやPPPこそ新自由主義ではないのか!

PFIやPPPこそ新自由主義ではないのか!

「民間にできることは民間に…」

「できるだけ税金を使わず民間資金で…」

「民間資金を活用することで事業の効率化を…」

こうした考え方で公的インフラを整備・維持しようとする政治こそ、まさに新自由主義です。

きのう岸田内閣は、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)やPPP(官民連携事業)の事業規模をこの10年間で30兆円の規模に拡大する計画を立てました。

PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)は公的インフラから上がる利益を目的に民間から資金を募り、その資金でインフラ等を整備させる事業方式のことです。

一方、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)は官民が連携して公共サービスを提供する事業方式のことです。

我が国でPFIが導入されたのは1992年のことですが、これらは1980年代の英国(サッチャー政権)で「小さな政府」「民営化」などの行政改革(構造改革)の流れの中で生まれたものです。

まさに新自由主義そのものです。

なお、コンセッション方式もまた民営化手法の一つです。

コンセッション方式は、自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま、一定期間の運営権のみを民間事業者に売却する制度です。

運営権のみを受注した民間事業者にとって、これほど都合がいいことはない。

何か問題が起きた時の修復や後始末は、運営する民間事業者ではなく、自治体が解決することになっていますので。

受注した民間事業者は、メンテナンス費用や人権費を抑制し、ただただ利益の拡大を目指すのみです。

困るのは利用者(消費者)である国民です。

とくに公共サービスの場合、他のモノやサービスとは異なり消費者サイドに選択の自由が与えられていないため、企業間の競争が起こりえず、寡占化が進んで料金の高騰も招きやすい。

先行する海外の事例をみますと、インフラ施設の劣化や公共料金の高騰などのトラブルが相次いでいます。

上下水道及び工業用水道の運営権を一括して民間に売却した宮城県では、さっそく水道料金を値上げする自治体がでており、気仙沼市などは水道料金が20%も上がっています。

しかも宮城県の水道事業民営化(コンセッション方式)は、受注した民間会社の株式の51%をヴェオリア・ジェネッツ社が保有しています。

要するに宮城県は、県民にとっての「命の水」を事もあろうに外資に売っぱらってしまったのです。

今後もこうした売国自治体がでてくることは必至です。

政府がPFIやPPPを推進したいのは、結局のところ「財政破綻論」と「緊縮財政至上主義」にあります。

「とにかくおカネがないのだから、できるだけ民間資金を…」と。

財政が潤沢なはずの東京都までもが下水道運営権の売却を検討している始末です。

そして何よりも決定的なのは「貨幣(おカネ)とは何か」への不理解です。

インフラの整備とその維持は、ふつうの国債を発行して、即ち通貨発行権を行使して財源とすればいいだけの話です。

むろん通貨発行権のない地方自治体には、地方交付税交付金による措置を手厚くすればいい。

岸田総理は「小泉以来の新自由主義を見直す…」と言って総理になったはずです。

なのにどうして「PPPやPFIの拡充…」なのでしょうか。