伸びない資本ストックもまた政治の責任

伸びない資本ストックもまた政治の責任

日本の設備投資の低迷が続いています。

この20年間で設備の総量を示す資本ストックは、なんと1割たらずしか増えていません。

資本ストックとは、工場設備、機械設備、建物、パソコン、ソフトウェア等々、企業が経済活動のために投資してきた生産資産の累積(ストック)のことです。

一般的に「資本」とはおカネのことと思われがちですが、経済の世界においての資本とは生産資産のことです。

資本ストックを海外と比べてみると、この20年間で米国は48%増、英国は59%増、ドイツは17%増、日本はわずか9%増です。

米国や英国が5~6割も伸びたのに対し、我が国はだいぶ差をつけられています。

むろん日本の企業が利益を国内投資に振り向けていないためです。

いつも言うように、経済成長の源泉は「生産性の向上」であって、人口増ではありません。

その生産性を決定するのが「労働力 ☓ 資本ストック(技術力を含む)」です。

今後、我が国は人口減少(生産年齢人口比率の低下)により労働力が減っていくのですから、それを資本ストックの充実によってカバーしなければなりません。

にもかかわらず、その資本ストックが増えていないのですから致命的です。

資本ストックを増やしていくためには、なによりも企業が設備投資を拡大していく必要があるわけですが、上のグラフのとおり設備投資は1990年代初頭に過去最高を記録して以来、低迷を続けています。

2010年以降、企業の経常利益は増えているにもかかわらず、です。

結局のところ、企業は獲得した利益の多くを株主への配当金と内部留保、そして海外企業への出資や買収に投じた一方で、国内の設備投資には極めて消極的だったと言っていい。

では、どうして国内の設備投資には消極的だったのでしょうか?

むろん国内経済が長きにわたってデフレだからです。

(デフレ=総需要の不足)

需要のないところに投資はありません。

即ち、設備投資をしてこなかった企業に罪はなく、緊縮財政によってデフレを放置してきた政府にこそ大いなる罪があります。