安全保障の概念を喪失してしまった日本国民

安全保障の概念を喪失してしまった日本国民

今月の4月7日、日経平均株価が大幅に下落しました。

下落材料となったのは、むろんトランプ米大統領が相互関税を発表したことです。

それが実施されれば世界貿易が大きく落ち込むのは必至で、加えて先行き不安も相まっての株価下落だったのだ拝察いたします。

8日以降、株価は反動で多少は持ち直したものの、前月以前の水準を未だ回復していません。

ちなみに、2020年のコロナ以降、かなり急速に資産価格が値上がりしていましたので、もともと市場では「そろそろ株価が調整局面に入るのでは…」と予測されていたようです。

市場関係者がそのようなマインドに入ると、「誰が最後にババを引くか…」という市場展開となり、いざ大きなショックが加わると一気に株価が暴落するのでしょう。

つまり、堅調にみえた資産市場や株式市場もいつ崩壊してもおかしくない危うさがあったとのことです。

トランプ・ショックにより、当然のことながら米国の株式市場も下落したわけですが、となると、岸田前内閣の肝煎りではじまった新NISA(少額投資非課税制度)で投資を唆された日本人たちが米国の株価を下支えしている格好になっています。

新NISAがはじまった当初、日本の金融機関は、とりわけ「米国株」への投資を勧めていました。

現に、私も勧められました。

つくづく、新NISAは岸田内閣の愚策の一つだと思います。

投資先を日本株に限定するならまだしも…

すると今度は、石破内閣が高齢者向け「プラチナNISA」を創設するらしい。

新NISAでの購入は不適切とされた「毎月分配型」の投資信託の取り扱いを検討しているという。

要するに「政府には、カネを使って国民を豊かにする気などさらさらないから、国民は自分たちで資産を増やせ…」とでも言いたいのでしょう。

しかしながら、家計資産が株式や債権に投じられてもGDPにはなりません。(証券会社等に支払う手数料のみGDP)

政府の仕事(経済政策の目的)は、国民一人あたりのGDPを増やすことです。

ぜひ政治家たちはそのことを理解してほしい。

さて、話は変わりますが、相変わらずおコメの値段が下がりません。

上のグラフのとおり、令和6年産米の令和7年3⽉の相対取引価格は、全銘柄平均で25,876円/60kgとなっています。

令和7年3月の価格には備蓄⽶の取引も含まれているため前⽉比でマイナス609円なのですが、備蓄米の取引が含まれない前年同⽉と比べると10,448円も高くなっています。

ちなみに、令和7年3⽉までの年産平均価格24,500円/60kgは、出荷業者と卸売業者等の間の取引価格としては、⽐較可能な平成2年以降で過去最⾼の価格とのことです。

そうしたなか、今朝の羽鳥モーニングショーで米価の特集が組まれていたのですが、そのなかで司会の羽鳥氏が「これだけおコメが足らないのだから、外国から輸入するという案はないのでしょうか?」などと専門家に質問をしていました。

羽鳥氏だけではなく、おそらくは多くの日本国民が同様の疑問をお持ちになられているのではないでしょうか。

しかしながら、昨今のコメ不足の根本問題は、長きにわたる「減反政策」や「農家への不保護」などの報いから、国内生産能力が大幅に落ち込んだことにあります。

すなわち、減反政策のみならず、ふつうの国では行われている農家への「所得補償」や「価格補償」を日本政府が怠ってきたことにより、「これでは、コメ農家などやっていけない…」という状況にしてしまったのです。

ここで輸入米など入れてしまったら、余計に「やっぱり、コメ農家などやっていけない…」となってしまうだろうに。

安全保障上の観点から、わが国の主食であるおコメを輸入に頼るようになったら一巻の終わりです。

戦後80年にも及ぶ被占領体制によって、日本国民の頭から「安全保障」という概念が失われてしまったことを痛感します。