利益線をも守護しなければならない

利益線をも守護しなければならない

今、米国は大統領選挙の真っ最中にあります。

どうしてもトランプ氏の再選を阻止したいバイデン政権は、司法を使って30件以上もの訴訟をトランプ氏に抱え込ませるという戦術に出ているようです。

しかし効果はまったくの逆効果で、それをすればするほどにトランプ氏の人気が上がり、またトランプ陣営への献金の件数も日に日に増えていると報道されています。

司法をつかって思想信条の自由や政治的自由を制約しようとするやり方は、多くの米国人には受け入れ難いものではないでしょうか。

さて、就任当時のバイデン大統領は、米国の安全保障と経済的安定の不可欠な分野のサプライチェーンを徹底的に分析するように命じました。

1990年代以降の行き過ぎたグローバル化によって、米国もまた重要鉱物、大容量バッテリー、半導体、医薬品などの戦略物資の多くを外国に依存していくことになり、2020年3月からはじまったコロナ・パンデミックがそれらのサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしました。

気がつけば米国は重要鉱物の8割を外国から調達しており、とりわけニッケルやマンガンなどバッテリー製造に必要な鉱物はなんと中国に依存していたのです。

因みに、国防はもちろんのこと、米国市民が日々の生活に欠かすことのできないマイクロチップの6割、先端半導体チップの9割は、中国の脅威にさらされている台湾で製造されています。

これらの重大問題に気づいたからこそ、バイデン政権は貿易やサプライチェーンをも国家安全保障戦略の一つとして位置づけたわけです。

とはいえ、そもそも貿易やサプライチェーンが国家安全保障にとって密接に関わっていることは主権国家を維持するうえで当然の認識でなければなりません。

我が国においてさえ、明治23年の第一回帝国議会で当時の山縣有朋首相が「主権線(国土・国民・主権)の安危に密着の関係にある利益線(資源や海上輸送路の確保)をも守護しなければならない」と答弁しているほどです。

そんな当たり前のことを忘れさせてしまうほどに、国境を否定するグローバリズムという思想は危険かつ有害なものだったわけです。

昨日のブログでも申し上げましたとおり、現在の国際情勢をみまわしますと、世界は再び第一次世界大戦前に戻りつつあるように思います。

ゆえにこそ、我が国の指導者たちは「主権線とともに、主権線の安危に密着の関係にある利益線をも守護しなければならない」ことを理解してほしい。