東電、また値上げ!

東電、また値上げ!

来年の4月、東京電力がまた値上げする予定です。

我が国のエネルギー安全保障は、今まさに危機に瀕していると言わざるを得ません。

なぜ、ここまで危機に瀕しているのかといえば、電力に関する「まちがった改革」による結果です。

ご承知のとおり、2011年3月11日の東日本大震災以来、稼働できる原発の多くが停止されています。

加えて2012年からは「FIT事業」が導入され、例の「再エネ賦課金」によって電気代が強制的に値上げされました。

さらに追い打ちをかけたのが「電力小売自由化」と「発送電分離」です。

電力小売自由化によって卸売市場なるものが生まれ、同時に発送電が分離されたことで、価格競争の上で不利に追い込まれた発電部門への投資は縮小されていき、とりわけ火力発電所の廃止が相次いでいます。

それだけで、2030年までに4,333万KWの火力発電が廃止される予定です。

4,333万KWといえば、原発40基分に相当する発電量です。

そもそも電力会社が発電設備と送電設備を一体で運用してきたのは、わが国特有の国土事情と深く関係しています。

言わでもがな、わが国土は南北に細長い島国であり、山がちで平野が少ないのが特徴です。

このため電力系統は一本の櫛のように構成されてきたわけですが、といっても、送電線の立地場所は少なく、用地取得にも長期の時間とコストがかかるために送電インフラの充実は容易ではありませんでした。

しかも、わが国では電力会社が発足して以来、東西で周波数が異なるという問題もあります。

つまり日本の送電システムは、大電流を流すと不安定化しやすいという脆弱性を慢性的に抱えているわけです。

この脆弱性を制度的に克服する手段として、発電と送電を一体で整備し、一体で運用するという仕組みが構築されたのです。

一方、欧米諸国は、日本とは異なり地形が長方形で平野が広いことから、各電力会社が網の目状に電力系統(電力を需要家に届けるまでの発電・変電・送電・配電の設備の総称)をつなぎ、緊密に連携しています。

むろん、国内における周波数も同一です。

そのため、欧米の送電インフラは日本よりも大量の電力をより安定的に送ることができています。

要するに「発送電分離」は、欧米のような充実した送電インフラを前提とした政策なのであり、日本のように送電インフラの脆弱性に制約された地域に、そのまま当てはめることのできない政策なのです。

記憶に新しいのは、昨年3月22日、東京電力は想定需要に対し発電能力が全く届かない状況に陥り、ブラックアウト(全域停電)寸前に至ったことです。

あのときは、福島県沖地震で火力発電(335万KW)が停止し、東北から東京向けの送電網被害で運用容量が250万KWに半減しました。

加えて、3月としては異例の寒波が到来。

その悪天候により、太陽光の発電が激減(稼働率1割)してしまったわけです。

エネルギー安全保障を自ら弱体化させてしまったわが国では、夏と冬が来るたびに「ブラックアウトの危機」に怯えねばならないことになりました。