財政民主主義

財政民主主義

岸田内閣は11月2日、総額17兆円規模となる経済対策を閣議決定しました。

これについて東京新聞が昨日の社説で「財源の一部には国会での事前の議決を経ずに使える予備費を充てる方針で、財政民主主義を事実上無視していると指摘せざるを得ない」と主張していました。

東京新聞が「財政民主主義」という言葉を使っているのが少し意外だったので思わず記事が目に止まったのですが、とにかく「国会での事前の議決を得ない予備費を財源に充てる」ことが気に食わないらしい。

予備費とは、予測し難い予算不足に充てるための経費のことで、例えば予算成立後に歳出に計上された既定経費に不足が生じたり、新たに経費が必要となった場合の不足に充てるなど、内閣の責任において支出できる予算のことです。

国会での事前の議決を必要としない、と言うけれど、事前の議決を必要としないのは「その予備費を何に使うか…」であって、予備費そのものは国会で議決する予算案に含まれています。

予測し難い予算不足に対応するために速やかに支出をしなければならないわけですから、何に使うかをいちいち事前に国会で承認を得ることは難しい、ということです。

それよりも問題は、「経済対策…」と言いつつ、新たな貨幣発行をもって需要創造(財政支出)することなく、既に予算化されている予備費をもって対策費に充てていることではないでしょうか。

これでは経済対策にならない。

我が国は一部の分野で、「コストプッシュ型インフレ」や「サプライロス型インフレ」が生じていますが、マクロ経済的にはデフレ(需要不足)経済であり、政府の言っている「デフレギャップは埋まっている」は嘘です。

資本主義のもとでは、政府が新たに貨幣を創造すること、すなわち財政を支出することで経済は成長します。

財政支出を拡大するとGDPが増えるのですから当然です。

東京新聞は知らないかもしれませんが、国民一人あたりのGDPが増えることを経済成長と言います。

逆に、増税や歳出改革を行ってしまうと、国民経済から貨幣が回収されてしまうと経済(GDP)は停滞、もしくは縮小してしまいます。

とにもかくにも財務省は、新たな貨幣発行(歳出増)や減税が嫌いです。

だからこそ、予備費を財源に充てたがっているわけです。

かの役所にとって、税率を引き上げることと、財政赤字を減らすことは省是なのでございます。

天下の財務省とはいえ、選挙で信任を受けたわけでもない一省庁の財政政策(緊縮財政)が、デフレ経済を助長している現実があります。

この25年間、大多数の日本国民がデフレ経済による貧困化に苦しんでいます。

もしも大多数の日本国民がそれを打開してほしいと望み、これを解決するための手段が財政支出の拡大(新たな貨幣発行)にあるのだとすれば、財務省が主導する緊縮財政こそが、まさに財政民主主義に反しているのではないでしょうか。