予算があっても執行しないのはPB黒字化のためか!?

予算があっても執行しないのはPB黒字化のためか!?

新型コロナウイルス禍を受けて、政府は昨年春からコロナ対策費として73兆円の予算を確保してきましたが、なんとそのうち約30兆円をも使い残していることが判明したらしい。

日本経済新聞によると、企業や家計への支払いを確認できた額は約35兆円とのことです。

それが事実だとすれば、政府支出による名目GPDの押し上げ効果はたったの7%程度にすぎなかったことになります。

要するに、ちゃんと予算枠を確保しているくせに執行段階になると支出しないわけです。

例えば米国政府は今年3月末時点までにコロナ対策費として既にGDPの25.5%を支出しています。

むろん米国救済計画による約1.9兆ドルが含まれての額ですが、いかに我が国の政府が、とりわけ財務省がこの期に及んで「超緊縮主義」を貫いているのかがわかります。

当然のことながら、予算は国会での議決を得て成立承認されます。

国会での議決を得て予算枠を確保しているくせに執行しないのは、いかにも国会(国民)を舐めた行為です。

因みに、国の緊縮のせいで自治体の事業が進まないこともしばしばです。

例えば、川崎市が延長100メートル(予算額100億円)の都市計画道路をつくるとします。

都市計画道路整備事業の場合、概ね国(国土交通省)と川崎市とで事業費を折半します。

即ち、国が50億円、そして川崎市もまた50億円を用意するわけです。

ところが、いざ事業をはじめようとすると、国が「川崎市さん、申し訳ないが、当初は50億円と言ったけど、今年は25億円しかおカネを出せません」と言ってきます。

そうするとどうなるか。

通貨の発行者ではなく、通貨の利用者である地方自治体の川崎市が、単独で事業負担をするわけにはいかないので、やむを得ず川崎市も25億円に減額することになります。

25億(国) + 25億円(川崎市) = 50億円

なのでその年は、残念ながら計画(100メートル延長)どおりにはいかず、その半分の50メートル延長しか整備できなくなるわけです。

毎年そのようなことをされるのですから、なかなか事業が進みません。

私の選挙区にある世田谷町田線(いわゆる世田道)の登戸付近の拡幅工事がその代表例です。

当該事業は、本来であれば平成29年までに事業完了している予定だったのですが、令和3年となった今でも未だに工事が終わっていません。

ある国会議員から「川崎市はいつになったら当該事業を終えるのか?」という問い合わせを頂いたことがありますが、予算を認証してくれないのは川崎市ではなくて国なんです。

国に対しそれを追及するのは、むろん市議会議員ではなく、国会議員の皆さんなのでございます。

財務省が超緊縮主義に走るのは、むろん例のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の2025年度黒字化目標があるからです。

とはいえ、プライマリーバランスの黒字化目標を破棄せよ、という世論の高まりもあります。

そこで財務省は考えたのかもしれません。

予算で譲歩し、決算(予算執行の段階)で実を得る(緊縮する)ことを…

つまり予算ベースでは大判振るまいしているようにみせつつも、決算ベースでは着実にPB赤字を縮小する、という戦略ではないでしょうか。