下がり続ける実質賃金

下がり続ける実質賃金

地元を歩いていると、景気の冷え込みを実感します。

いつもは賑わう飲食店街も、見た目でも明らかに人通りに乏しく、多くの事業者さんが客入りの悪さを嘆いておられます。

3月7日に厚労省から発表された「実質賃金」をみますと、上のグラフのとおり目を伏せたくなるような恐ろしい数字がでています。

新型コロナ感染が2類から5類に移行される見通しが示されるなど、経済活動が徐々にもとに戻りつつあるわけですから、普通であればコロナ禍による停滞経済の反動で数値は跳ね上がるものですが、着実に右肩下がりで落ち込んでいます。

未だ日本は、コロナ大不況のなかにあると言っていい。

それだけではありません。

消費税が5%から8%へ、8%から10%へと段階的に引き上げられてきましたが、消費税増税の影響とのダブルパンチ不況でもあり、更に加えれば新自由主義に基づく構造改革がもたらした経済低迷とのトリプルパンチ不況とも言えます。

これを乗り越えるには、消費税を廃止すること、そして100兆円規模の財政出動により、コストプッシュ・インフレとデフレの二つの鬼を同時に退治するほかない。

しかしながら、我が国に「プライマリーバランス黒字化目標」があるかぎり、そんなことは絶対に不可能です。

プライマリーバランスとは、基礎的財政収支のことです。(以下、PB)

PB規律があるかぎり、例えば消費税をゼロにしようとすれば、年間約30兆円もの財源を国債発行以外の方法でどうにかして調達しなければなりません。

さもないと、PBの赤字が拡大してしまうからです。

あるいは100兆円規模の財政出動にしても、それを国債発行で賄おうとすればPB収支の赤字が拡大しますので、PB規律を守ろうとするかぎり100兆円の財政支出なんて不可能なのです。

要するにPBとは「税収で得られる範囲で全てを賄おうとするもの」であり、その黒字化目標とは「国債発行抑制目標」のことなのでございます。

こうなると、税収に限りがある以上、何らかの支出を増やすためには、①何かの支出を削るか、②増税をするか、のどちらかを選択するほかないわけです。

このPB黒字化目標こそが、諸悪の根源なのでございます。

一刻もはやく破棄してほしい。

残念ながら岸田総理は「2025年度PB黒字化目標」を維持し続けています。