貨幣発行による財源確保を!

貨幣発行による財源確保を!

岸田首相は、きのう行われた衆議院の代表質問で「増額する防衛費の一部を増税で賄う」と答弁し、改めて防衛増税の必要性を示しました。

なお、歳出改革などで財源を捻出しても足りない部分については「税制措置での協力をお願いしたい」と述べています。

実に残念です。

とはいえ、メディアのほか多くの国民もまた「増税はやむを得ない…」とお考えのことでしょう。

人々が「税は財源…」という呪縛から逃れるのは実に難しいことです。

さて、このブログでも幾度かご紹介させて頂いておりますが、マクロ経済では次のような恒等式が成立します。

政府の収支 + 企業や家計の収支 + 海外部門の収支 = 0

これは「1+1=2です」と言っているのと同様で、哲学的な解釈を別にすれば絶対に否定することのできない計算式です。

増税を行うということは、企業家計の収支をマイナス化(赤字化)し、政府の収支をプラス化(黒字化)することです。

また、歳出カットもまた政府の黒字化(企業や家計の赤字化)にあたります。

彼ら彼女らは、徹底して民間部門を赤字化させなければ防衛費を捻出することができないと信じて疑わない。

それでなくとも、わが国はコロナ禍により経済低迷が続いている中であるにもかかわらず、国の税収はなんと過去最高を記録しています。

コロナ禍でも税収は伸び続けています。

コロナ禍が本格化した2020年度には、それまで過去最大だった2018年度の60兆3563億円を抜いて一般会計税収は60兆8216億円となっています。

つづく2021年度は67兆0378億円で再び過去最高を更新し、想定通りに推移すると3年連続で過去最高を更新することになります。

実質賃金が下がり続けているなか、GDPの伸び率よりも税収の伸び率のほうが高くなっているということは、いかに政府が国民から所得を奪っているのかが解ります。

ほんと鬼のような政府ですね。

輸入物価等が上昇して国内の物価が高騰するコストプッシュ・インフレの場合、国民が負担した値上がり分のおカネは外国の所得になりますが、政府が増税した場合、国民が負担したおカネは政府の所得になります。

即ち、増税は政府による強制的なコストプッシュ・インフレ政策なのです。

私たち日本国民は今、実質賃金が上昇しないなか、外国のみならず、自国の政府にまで所得を奪われ続けています。

そして防衛費捻出の名のもとに、さらに国民の所得を奪おうとしているわけです。

増税という、まさに国民から貨幣を回収(貨幣消滅)するかたちで防衛費を増やすのではなく、国債を発行し財政支出を拡大(貨幣供給)するというかたちで防衛費を捻出しなければならない。