フェイクとトゥルーの見極め

フェイクとトゥルーの見極め

つまみ食いされた事実を羅列するだけでは真実は見えてこない。

例えば、ニュースワイドショーなどテレビメディアが特にそうですが、その番組がこしらえたストーリーがまず先にあって、そのストーリーに沿う情報(映像)だけがつなぎ合わされ報道されることがしばしばです。

それを観た多くの視聴者は、番組お誂えの真偽不確かなストーリーをとりあえず信じることになります。

ゆえに、日々の暮らしの中にあふれる時事問題について、日本国民の誰もが真実を知り得ることはなかなかに難しい。

日本のマスコミが喧伝する典型的なストーリーが「日本は借金で破綻する」というものです。

ここでいう「借金」とは日本政府の負債のことなのか、すべての経済主体の負債のことなのか。

あるいはここでいう「破綻」とはデフォルトのことなのか、金利高騰のことなのか、ハイパーインフレのことなのか、そういう大事なことを定義しようともせずに…

そして都合のいい断片情報だけを切り貼りして「日本国民一人あたり800万円の借金…」と煽る。

なるほど私は知らなかったのですが、政府の負債は国民の負債でもあったんですね…

そんなわけはない!

政府の負債は、国民の資産でしょうに。

現にコロナ対策で給付された「定額給付金」が明らかにしているように、政府が国債を発行したことにより国民の預貯金を増やしました。

日本のマスコミは、変動相場制を維持できる主権通貨国は「無」から負債をつくれることを知らない。

おそらく彼ら彼女らの脳みそには「おカネはどこからか持ってくるもの…」という考え方が、街の古い中華屋さんの油汚れのようにこびりついているのでしょう。

とにかく、経済財政についてはデタラメな報道が多い。

というかデタラメなことしかない。

昨日も朝のワイドショー番組で新たなインチキ解説がでてきました。

米国の中銀(FRB)が利上げし、日本の中銀(日銀)が利上げを控えたことを受け、為替市場で円安が進んでいます。

それを「日本は国債残高が多いため、これ以上金利を上げることができないのだ」と説明していました。

ある経済評論家のコメントを紹介するという形での報道ですが、要するに「日本政府の負債残高が多いために利上げすらできない。利上げできないから円安が進んでいる。だから財政再建(緊縮財政)が必要だ」というストーリーです。

よく考えてみてほしい。

日本政府の負債残高とは、日本政府の通貨発行残高です。

「通貨発行残高が多いから利上げできない」などはあり得ません。

それに日本政府は毎年、予算案で20兆円程度の国債費(償還費+利払費)を計上していますが、低金利状態が続いているため結局は決算で不用額がでています。

因みに、償還費を計上している国は、先進国では日本だけです。

他の先進国は償還費など計上していません。

つまり返済していなのです。

なのに日本だけが、国民から税金を徴収してまで国債を償還しています。

何が言いたいのかと申しますと、供給能力を有する先進国にとって国債は「返済する必要のない負債」なのです。

しかも日本政府は自国通貨建てで国債を発行しています。

その政府が、返済不要である国債の利払ができないなどあり得ましょうか。

以上のとおり「日本は政府負債残高が多いから利上げできない…」は明らかなフェイクニュースです。

日本が利上げできないのはデフレ経済だからです。

またデフレ経済だからこそ企業に資金需要がなく、借り手不足の銀行は国債を買わざるを得ず、結果として低金利が続いているわけです。

ゆえに、求められるのは緊縮財政ではなく、積極財政です。

番組がつくったストーリーとは全く反対のところに真実があるという典型的な事例です。