破綻時計はいつ止まる⁉

破綻時計はいつ止まる⁉

先週末、ネットで『yahooニュース』をみていたら、次のような記事がありました。

『1秒に「27万円」増えていく…膨張する日本の借金が「問題ない」と言い切れないワケ
https://news.yahoo.co.jp/articles/861c9d95af2ad2d7550371b543a9b65861f5e1f9
(前略〜)「27万円」とは、何の数字なのでしょうか。その答えは、1秒間にかかる国債の利払いです。国債とは国が発行する債券で、簡単にいうと国の借金です。借金ですから、国は利子を払います。その金額が1秒間で27万円ということです。(〜中略〜)「27万円」という数字が語るように、日本の財政は危機的な状況です。(〜後略)』

要するに「日本政府が支払う国債の利払い費が1秒間に27万円も増えていく。だから日本は財政危機だ」と言っています。

この種の「破綻時計論」はこの30年間にわたってずっと言われ続けてきたことで、既に手垢だらけの愚論ですが、まだ絶滅していなかったのですね。

コロナウイルスのように、ウイルスは常に変異して生き延びを図りますが、この人達はまったく変異しないで同じロジックで生き延びようとする。

実に厚かましい。

まず間違いなく言えることですが、こうした手合たちは、国債償還費であろうが利払い費であろうが、国民から徴収した税金でそれらを返済している国は、世界で唯一日本だけである事実を絶対に知らない。

そもそも政府歳出予算の国債費に「債務償還費」を計上しているのは日本だけです。

我が政府だけが、バカみたいに「60年償還ルール」なんて制度を独自に拵えて債務償還しているわけです。

米国でもEUでも、こんなルールはありません。

このように言うと「じゃあ、外国はどうやって返済しているの?」という疑問をお持ちの方もおられるでしょう。

むろん、永遠なる「借り換え」です。

国債とは、返済の必要のない特別な国庫債券なのです。

これがグローバル・スタンダードです。

国債の発行は国民の資産の増加となるため、各国政府は景気過熱の抑制の必要がないかぎり、発行した国債は永続的に借り換えしています。

なによりも政府とは、永続する経済主体としてゴーイングコーンサーン(Going Concern)の存在です。

個人や家計に予算制約式が適応され「永遠なる借り換え」が認められないのは、ヒトの命には寿命があるからです。

寿命のない政府に予算制約式は適応されません。

とりわけ主流派経済学が典型ですが、財政破綻論者たちは政府、企業、家計など各経済主体をすべて同一のものとして抽象化してしまうのが特徴です。

だから政府財政を家計簿で論ずる、というあってはならない愚を犯してしまうわけです。

マクロ経済を正しく論じるには、政府、企業、家計、個人をそれぞれ別々の経済主体として分類することが前提であり、収支均衡を原則とする家計の理論を、通貨発行権を有する政府に当て嵌めてはならないのは当然のことでしょう。

消費税(税率3%)が導入された年、私は大学1年生(1989年)でした。

その前年の高校3年生のときには既に、テレビでは政治家たちがでてきて「このままでは日本政府は破綻するぅ〜」と言って消費税の必要性を訴えていました。

忘れもしませんが、あの時点での国債残高はたしか165兆円でした。

予算と決算で多少のズレがでますが、ほぼその金額で間違いないと記憶しています。

あれから30年…

すでに政府の国債残高は、約1000兆円にまで増えています。

165兆円の時点で「もう破綻するぅ〜」と言っていたのに、あれから30年を経て6倍以上に膨れ上がってもなお日本政府は破綻(デフォルト)していません。

むろん、国債発行残高とは貨幣発行残高に過ぎないのですから、破綻(デフォルト)などするわけがないのですが。

川崎市議会にも「さらなる消費税増税が必要だ」と主張する議員が大勢います。

ひょっとすると彼ら彼女らは「この30年間、少しずつ消費税の税率を引き上げてきたからこそ、日本政府は破綻していないんだ」とでも、真顔で言いかねないから怖い。

変異するウイルスも厄介だが、変異しないで寄宿しつづける財政破綻論者もまた実に厄介な代物です。

いつも言うように、そんなに政府の負債が気に食わないのであれば、自分の銀行預金を下ろして1秒間に27万円ずつ燃やしたらいい。(※本当に燃やすと犯罪になります)

そうしたら政府の負債が少しは減ります。

なにせ現金紙幣(日銀券)は政府(日銀は政府の子会社)の負債そのものですので。