コロナ禍の長期化で増え続ける生活困窮者

コロナ禍の長期化で増え続ける生活困窮者

新型コロナ禍の長期化によって、生活に困窮する人々が後を絶ちません。

今月、国が公表した生活保護の調査では申請の件数が去年より10%以上も増加していることがわかりました。

リーマン・ショックの影響を受けた2009年度以来の高い伸びです。

生活困窮者の支援はまさに正念場を迎えています。

継続はもちろんのこと、さらなる拡大も検討していく時だと思います。

生活保護の申請が増えているのは、新型コロナの影響が長期化していることで生活保護の前の段階にあるセーフティネットだけでは生活を維持することができない人が相次いでいることの証左かと推察します。

ご承知のとおり、生活保護制度は最後のセーフティネットと呼ばれ、その前には大きく分けて第一のセーフティネットの社会保険や労働保険がり、第二のセーフティネットである生活困窮者の支援制度等があります。

まず第一のセーフティネットといえば、年金や公的医療保険などが代表的ですが、この中には雇用保険があります。

則ち、仕事を失った人に支払われる失業給付や、従業員の休業手当の一部を助成する雇用調整助成金などです。

しかしながら、これらを受けてもなお収入は一定程度下がりますし、フリーランスやアルバイトなどでそもそも雇用保険に加入していない方々もおられます。

これらの手当だけでは生活が厳しいという人たちのためにあるのが第二のセーフティネットで、具体的には、特例貸付制度のほか住居確保給付金や学習支援事業等の支援が設けられていますが、それでも生活が立ち行かなくなり、生活保護を申請している人が相次いでいます。

むろん、どのセーフティネットにも課題はありますが、当面は第二のセーフティネットの強化(貸付型から給付型への転換)と継続が必要ではないでしょうか。

それを、在りもしない財政難を理由に渋っている為政者たちの気が知れません。

そもそも生活困窮者数を拡大している根本的な原因は、①コロナ禍と②デフレの長期化にあります。

①のコロナ禍の長期化はワクチン接種の遅れが主因であり、②のデフレの長期化は政府の緊縮財政が主因です。

冒頭のグラフのとおり、IMFの経済見通し(2021年4月及び7月時点)をみますと、残念ながら日本の成長率だけが低く抑制されています。

その理由もまた明らかで、我が国でのワクチン接種の開始が先進諸国に比べて実質的に約5ヶ月間も遅れてしまったことです。

この遅れが経済に与えた打撃は極めて大きいものと考えます。

それに、デフレを払拭しGDPを成長させることができなければ、国民経済の底上げを期待することすらできません。

ゆえにこれらのことを踏まえますと、生活保護を申請せざるを得ない生活困窮者を増やしているのはまさに政府(政治)の責任です。