財政法第12条「歳出が先、歳入は後」

財政法第12条「歳出が先、歳入は後」

自民党の総裁選挙が行われています。

選挙戦を優勢にリードしてきた河野太郎氏ですが、ここにきて支持率に急ブレーキがかかっているようです。

なにやら討論会での発言が墓穴を掘っているようです。

報道によると、とくに評判が悪いのが河野さんの主張する「年金制度改革」で、河野さんによれば「基礎年金の財源は全額税負担」にするらしく、その財源を消費税に求めるようなのですが、消費税率をアップさせるのか、アップさせるなら何%にするのか等を具体的に説明していないことへの批判が集中しているようです。

ただこの場合、河野さんも見当違いをしていますが、批判する側も間違っています。

仮に消費税収を年金給付に充てるならば消費税を目的税化して特別会計に組み込まなければならないし、そもそも国家が税を徴収する目的は「財源確保」ではありません。

これまで消費税収は社会保障に使われてきたと説明されてきましたが、それは真っ赤な嘘で、実際にはそのほとんどが借金の返済に使われてきました。

「借金の返済」とは、それ則ち「貨幣の消滅」ですので、日本経済が益々デフレ化するのも無理はありません。

繰り返しますが「税収は財源だ」と思い込んでいる時点で、河野さんのいかなる政策にも期待はできない。

4人の総裁候補のなかで、税収は財源ではないことを理解されているのは高市早苗さんだけではないでしょうか。

『財政法』第12条には…
「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない」とあります。

しかしながら、その年の歳入(税収)が決まるのは年度末ですが、政府や自治体の歳出(支払い)は年度はじめから発生しています。

要するに、政府にしても自治体にしても、まずは借金(歳出)ありきなのです。

借金(歳出)した分のインフレ圧力を抑制するために、実は歳入としての「税」が徴収されているわけです。

ご承知のとおり、現在の我が国はデフレ経済(インフレ率ゼロ%)です。

ゆえに増税よりも、むしろ減税が必要な状況なのでございます。

だからこそ消費税減税こそが議論されるべきであって、何%引き上げるべきかという議論などあり得ない。

なお、今回の総裁選挙の大きな特徴は「日本政府の財政破綻があり得るか、あり得ないか」が議論されているところです。

これまでの総裁選挙は「このままでは財政が破綻する…」が前提でしたので。

そこで改めて、財政破綻論を否定しておきます。

まず、自国通貨建てで国債を発行している主権通貨国のデフォルト(債務不履行)はありえない。

日銀が国債を買い取る“量的緩和”を続けると「やがてはハイパーインフレになるぅ」と言われてきましたが、インフレ率は未だゼロ%です。

あるいは「とにかく借金は借金だ。増やして良いはずがない…」と言われ続けていきましたが、日本政府の債務残高は2019年度末時点で1872年の3973万倍、実質でも1885年の564倍になっています。

けれど、それでも我が国政府は一度もデフォルトしたことなどありません。

何度でも言います。

インフレ率(国民経済の供給能力)が許す限り、政府の国債発行(通貨発行)に上限はないのです。