なぜ川崎北部では高齢化が急速に進むのか

なぜ川崎北部では高齢化が急速に進むのか

昨日のブログに対し、市民の方から次のような質問を頂きました。

「どうして中原区以北では、高齢化のスピードが早くなるのですか?」

川崎市は南北に細長い地形をしています。

南部(川崎区・幸区)は早くから都市化が進みましたが、中原区以北(中原・高津・宮前・多摩・麻生区)は、高度経済成長期から昭和後半にかけて「ベッドタウン」として急速に人口が増えた地域です。

当時、子育て世代として移り住んだ方々が一斉に高齢期(後期高齢者=75歳以上)に差し掛かるため、この地域では高齢化の進行が特に速くなります。

ブログでも述べましたとおり、この変化は2020年から2050年までの30年間にわたって進行します。

とりわけ、団塊の世代が75歳を超えた現在から、その子ども世代である団塊ジュニアが75歳を迎える2040年代にかけて、75歳以上人口の増加のピークが続きます。

川崎区などの南部ではすでに高齢化がある程度進んでいますが、北部(特に宮前区や麻生区など)は「若くて新しい街」というイメージから一転し、急速な高齢化社会へと変化していきます。

問題は、75歳以上の人口が、この30年間で倍増することです。

これは単に「お年寄りが増える」ということではなく、行政サービスやインフラへの需要そのものが大きく変わることを意味します。

医療や介護の需要が急増することは、想像に難くありません。

75歳を超えると要介護率が急激に上昇するため、施設整備やケアマネジメントの体制は、今のままでは到底追いつきません。

さらに、移動(交通)の課題もあります。

免許返納が進む中で、これまでの「車や自転車を前提とした生活」は次第に成り立ちにくくなります。

私が「駅前広場」や「交通インフラ」の先行整備を訴えているのは、高齢者が歩いて、あるいは公共交通で移動できる街へと作り替える必要があるからです。

また、高齢化の進行は、災害時に自力で避難することが難しい「避難行動要支援者の増加」も意味します。

例えば、古い木造住宅が密集する地域では、防災インフラの整備が急務となります。

私がブログで強調したかったのは、「この変化はすでに予測できている(=予見できる)」という点です。

「人が増えてから学校を作る」という後追い型の投資は、成長期には通用しました。

しかし、人口が減少しながら高齢者が急増する局面では、対応が後手に回れば「選ばれない・住めない街」になってしまいます。

ゆえにこそ、まだ都市に体力がある今のうちに、将来の高齢化社会を支えられるインフラ(バリアフリー化された駅前、効率的な公共交通網、防災拠点など)を先に整備しておくべきだと私は考えています。

これまでの遅れを取り戻すだけの投資から脱却し、将来のリスクを下げ、都市の期待値を高めるための「戦略的な先行投資」が必要だと考えています。

人口構造の変化は避けられません。

しかし、備えるかどうかは政治の選択です。