おカネの定義

おカネの定義

仮想通貨といえばビットコインがお馴染みですが、世界には1万1千種以上の仮想通貨があります。

その時価総額の合計は2超ドル強になります。

金融商品としても一般化した仮想通貨(暗号資産)を規制する動きがでていることは、昨日のブログでもご紹介したとおりです。

今年に入って、ビットコインの価格自体が大きく上がったこともあるのでしょう。

各国規制当局の仮想通貨への評価は下落の一途をたどり、規制強化の必要性が叫ばれています。

例えば米国証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は「(仮想通貨は)無秩序で投資家保護の体制が整っておらず、開拓時代の西部のようだ」と発言されています。

ほかにも、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は「ビットコインは非常に投機的な資産だ。世界規模での規制が必要だ」と言い、イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁も「仮想通貨には本質的価値がない。投資する人は資金を失うことを想定すべきだ」と言い、中国の地方金融監督管理局の局長に至っては「ビットコインの存在を許さない」とまで発言しています。

当然のことながら株式市場でも、この仮想通貨規制の動向が注目されています。

とりわけ米国では仮想通貨に裏付けられた連動型のETF上場投信の申請がでているものの、ながらく店晒しにされているという。

ゆえに、所管するSECがどのように対処するのかが、市場にとって一つの関心事のようです。

実際、米国では少なくとも7社がETFの申請をしているようですが、承認のタイミングになると延期が繰り返されるらしい。

延期が繰り返される最大の理由は、やはり仮想通貨の投機性にあるようです。

そもそも「仮想通貨」と呼ばれているものの、実際に通貨として使われるには極めて限定的です。

そのこともまた価格の不安定性に理由あるのでしょう。

一方、ドルなどの法定通貨や既存の金融資産を担保にして発効されるステーブルコインの価格が安定していると言われています。

ステーブルコインはドルやユーロなどの法定通貨を裏付けとして発行される仮想通貨の一種ですが、いずれにしても法定通貨の裏付けなしには価格が安定しない点こそが仮想通貨が通貨になりえない所以です。

私はこれを「仮想通貨」と呼ぶこと自体が間違いだと思います。

本来は「仮想金貨」と呼ぶべきではないでしょうか。

なぜなら通貨(おカネ)には、ちゃんとした定義があります。

①誰かの債務(負債)でること
②単位があること
③譲渡性があること
④担保があること

以上の条件を充たしていなければ通貨とは言えない。

とくに誰の債務でもない仮想通貨には究極的な価値の裏付けもなく、まったく通貨の定義を充たしていません。

仮想通貨による取引を成立させているのは、いわば「誰かがもっと高値で買ってくれる」という投機的な思惑だけではないでしょうか。