得票の責任は有権者にない。準備の責任は党にある

得票の責任は有権者にない。準備の責任は党にある

今回の衆院選の比例代表では、得票は足りていたにもかかわらず、名簿に登載した候補者数が不足していたため、本来得られるはずの議席が他党に配分されるという事態が起きました。

自民党では複数のブロックで、重複立候補者が小選挙区で当選した結果、比例名簿に残る人数が不足しました。

チームみらいでも、重複候補が小選挙区で一定の得票要件を満たせず、名簿から削除されました。

比例代表は、名簿に載っている人数の範囲でしか当選できず、足りなければ議席は他党へ移る。

このルールは選挙前から明確でした。

すなわち、有権者は議席を与えたのに、それを取り切る責任を政党が果たさなかったということです。

そもそも比例代表制は何のための制度でしょうか。

理念として掲げられているのは、得票率と議席率をできるだけ一致させることと、少数意見を議会に反映させることです。

ところが今回起きたのは、得票は存在したにもかかわらず、名簿の不足という技術的理由で議席が移動したという事実です。

比例でありながら、比例していない。

制度の目的と実際に生じた結果がズレています。

それでもなお、比例代表制は民意を正確に反映する制度だと言えるのでしょうか。

制度目的と帰結が恒常的に乖離するのであれば、制度そのものを再設計すべきだという議論が出てくるのは当然です。

比例代表を廃止し、中選挙区制に戻すという選択肢も論理としては十分に成立します。

しかし、少数意見を議会に届けるという理念に価値を置き、それでも比例代表制を維持するのであれば、民意が技術的な不備で失われないための安全装置を制度として組み込む必要があります。

私は、届け出の段階で、想定される最大獲得議席数まで候補者を登載することを義務づけ、これに満たない名簿は受理しない仕組みに改めるべきだと考えます。

どれだけ票が伸びるか分からないからこそ、最大値に備えるべきです。

それが公党の責任です。

制度が事前に分かっている以上、準備不足を有権者に転嫁する余地はなく、有権者には投票の責任はあっても得票の責任はありません。

準備の責任は党にあります。

比例代表制を続けるのであれば、この原則を制度として担保するところから始めるべきではないでしょうか。