令和7年9月25日、川崎市議会・決算審査特別委員会(文教分科会)において、学校給食の在り方について質問しました。
焦点は、米飯給食の拡充、給食センターを含む炊飯能力の実態、和食文化を中心とした献立の位置づけ、そして近時のコメ不足や価格高騰への備えです。
教育委員会からは、小中学校ともに米飯給食を推進していること、給食センターと自校式を通じて安定供給に努めていること、和食献立にも取り組んでいること、現時点では供給に支障はないものの価格動向には留意が必要であること、などの答弁がありました。
要するに「現状満足」という答弁だったわけですが、到底看過できません。
その理由の第一は、米飯提供回数の目標設定が消極的であることです。
当局は「全国平均の米飯提供回数を目指す」と答弁しましたが、偏差値45の人が偏差値50を目指すことが、どうして積極的な取り組みと言えるのでしょうか。
少なくとも平均値を上回る目標を掲げ、工程表と指標を伴って計画的に引き上げるべきです。
第二に、炊飯能力は理論上は足りているとの説明でしたが、実運用ではセンターの余力が乏しい状況にあり、突発的な需要増や設備トラブル、災害時への備えが十分とは言えません。
第三に、和食献立の頻度と実態把握が杜撰で、理念として「和食文化の継承」を掲げながらも、現場の献立に十分反映しきれていない点が見受けられます。
しかも、当局からは「子供たちが食べやすい献立を重視している」との答弁がありましたが、それは食育とは言いません。
子供たちが食べづらい、あるいは「嫌いな食材」であっても、それをしっかり食させる訓練をするのが食育です。
第四に、食材調達は県学校給食会に依存し、市独自の契約栽培や備蓄、価格安定の仕組みが未整備であるため、価格急騰や供給不安へのレジリエンスが弱いままです。
私の解決策は明快です。
まず、米飯給食は小学校でも中学校でも「毎日」を視野に入れ、平均を上回る具体的な目標値と年度ごとの工程表を公表することです。
次に、給食センターと自校式の双方で炊飯ラインと配送・保温体制のボトルネックを洗い出し、更新投資を前倒しして非常時のバックアップ体制を確立します。
そしてできるだけ、給食センターからの配送ではなく、地域の飲食店などの協力を得つつ自校式給食に戻していくことも視野に入れます。
あわせて、和食献立の頻度を明確に引き上げ、一汁三菜、発酵食品、出汁の学習を食育として教材化し、嗜好形成を段階的に進めます。
さらに、調達は県内農家との連携を基盤にしつつ、本市学校給食11万食の需要規模を交渉力として活かし、近隣県の産地とも複数年の契約栽培を組み合わせ、数量と価格のコミットメントを通じて安定供給を実現します。
必要に応じて市独自の短期備蓄を整備し、価格変動に対するトリガー条項も契約に明記します。
教育委員会や自治体が農家から一定の金額で安定的に購入することになれば、実質的に農家への価格・所得補償にもつながり、我が国の食糧安全保障の強化にもつながります。
また、政府がそうした取組を行う自治体への補助制度を創設すれば、各自治体にもインセンティブが働きます。
戦後、日本の学校給食はMSA協定のもとで米国の余剰農産物に依存し、パンと脱脂粉乳が長く標準となりました。
終戦直後の貧しい時期には同協定が栄養改善に少なからず資したかもしれませんが、その延長線上で今日に至るまで、子供の食生活が欧米型に固定化されたまま、和食文化が後景に退き、国内農業基盤が脆弱化したことも事実です。
だからこそ、いま私たちは「戦後メニュー」から決別し、米飯給食を毎日行い、和食文化の継承に力を入れていくべきです。