参議院選挙及び都議会議員選挙を前に、国政では消費税減税をめぐる議論が喧しくなってまいりました。
緊縮財政政党の自民党は早々と「消費税減税を行わない」ことを決めたらしい。
一方、野党第一党の立憲民主党は、こちらも同じく緊縮財政政党ではあるものの、選挙対策上の理由から「1年間だけ食料品の消費税率をゼロにする」としていますが、その減税方法の詳細がよくわからず、場合によってはこれにより潰れてしまう事業者がでてくる可能性が大です。
おそらくは国会議員たちの多くが、消費税の制度的目的は「輸出戻し税」にあることを知らない。
輸出企業が輸出の際に消費税分を価格転嫁できない(外国の消費者から消費税を徴収できない)のと同様に、最終消費者(食料品購入者)に消費税分を価格転嫁できなくなった事業者は、政府からの「戻し金」がなければ当然のことながら経営が圧迫されます。
立憲民主党のように「食料品だけでも消費税を減税することができれば…」と考えている人たちの多くは、消費税の本質が「輸出戻し税」にあることを知らず、消費税が間接税(預り金)であると誤解されている人たちなのでしょう。
繰り返し述べますが、消費税は間接税でもなければ消費者からの預り金でもなく、すべての事業者の粗利益(付加価値)に課せられている直接税です。
そして、その税収の一部(年間約9兆円分)が輸出事業者に還付されています。
ぜひとも国会議員たちにおかれては、正しい知識に基づいて消費税を論じてもらいたいと思うのですが、一国の総理たる石破氏もまた相変わらず頓痴気なことを言っています。
石破総理は消費税減税について「国の財政はどうなりますか(その分の国債は誰が返すのか)っていう話です…」などと発言しています。
ちなみに、日本共産党の田村委員長もまた「財源確保と一体で提案してこそ安定的で恒久的な消費税減税を実現することができる」などと発言されています。
ほんと、わが国の国会は救い難いレベルですね。
いつも言うように、そもそも減税に財源を求めること自体がおかしいし、国債は完済する必要のない政府債務です。
まず事実として、スペンディング・ファーストの政府は、常に国債を財源に財政支出をしています。
そして支出した後、徴税という手段を通じて国民経済から貨幣を回収しているにすぎません。(徴税という政府の貨幣回収には、いくつかの目的がある)
国民経済のおカネの量がGDPの拡大を通じて増えていくことを経済成長と言うのですから、政府支出は徴税額を常に上回っている必要があります。
政府の支出が徴税額を上回ることを財政赤字といいます。
即ち、L・ランダル・レイが言ったように「赤字財政こそが正常な状態」なのです。
上のグラフを見て頂きたい。
ご覧のとおり、OECD諸国の中でも、わが国は財政赤字を拡大していないほうの部類なのでございます。