萎む反緊縮の政治パワー

萎む反緊縮の政治パワー

NHKの世論調査によれば、岸田内閣の支持率が23%まで落ち込んでいます。

自民党の支持率が28.4%ですので、自民党支持者でさえも岸田内閣を支持しないレベルにまで達しています。

「内閣支持率と自民党支持率を足しても50%を切ってしまうと政権は崩壊する…」という、いわゆる「青木の法則」の水準に近づいています。

自民党の支持率がここまで落ち込んだのも実に久しぶりで、直近では麻生内閣以来ではないでしょうか。

いま行われている3つの衆議院補選(東京15区、島根1区、長崎3区)の結果次第では、9月の自民党総裁選において岸田さんが勝利することは難しいでしょうから、6月の会期末解散の可能性が濃厚となるのではないでしょうか。

むろん、負けを覚悟で。

ただ、麻生内閣のときと異なるのは、どんなに岸田内閣が失点を重ねても野党の支持率が上がっていないことです。

これで政権交代的な動きができないのであれば、野党の存在意義が問われます。

もしも野党が「反緊縮路線」でまとまることができるのであれば、場合によっては政権交代も可能だと思うのですが…

野党第1党である立憲民主党の上層部は「財務省のご説明」にやられて、完全に緊縮財政路線に洗脳されているらしい。

下手をすると、立憲民主党内部で緊縮派と積極財政派とに分かれ、党が分裂することもあり得そうです。

要するに、積極財政を提唱しはじめていた安倍派が潰された今、ここで野党に再編の動きがでなければ、財務省の政治的パワーがますます強まることになります。

ご承知のとおり、政府は2025年度にプライマリー・バランス(基礎的財政収支、以下PB)を黒字化するという目標を掲げています。

むろん、そんなことは不可能ですし、するべきでもありません。

しかも『骨太の方針2015』以来、ずっと嵌められつづけてきた「社会保障費以外の支出増加分は3年間で1,000億円まで」という上限キャップが今年度で切れます。

切れるというか、法的根拠を失います。

ゆえに、これから議論される『骨太の方針』が実に重要な政治テーマとなります。

そこで財務省は、新たな財政規律を『骨太の方針』で盛り込もうとしています。

これに対して立ち向かうことのできる政治パワーが、すなわち現在の永田町の政治力は圧倒的に脆弱な状態なのでございます。