武器を自国で調達できないことの意味

武器を自国で調達できないことの意味

現在のロシア・ウクライナ戦争は、日々、大砲の打ち合いが続いています。

砲弾数はロシアが圧倒しているという。

ロシアがウクライナに向け打ち込んでいる砲弾の一部は北朝鮮から提供されたものです。

昨年(2023年)の10月、北朝鮮から1,000個以上のコンテナに積み込まれた軍需品がロシアに移送されたことが確認されていますが、おそらくその中身は大量の砲弾でしょう。

ただ、北朝鮮の砲弾の性能はさすがに一級品ではないようで、5発に1発はうまく発射できず不良品らしい。

つまり故障率は20%ということです。

ちなみに、米国製の砲弾の故障率は2〜3%程度と仄聞しています。

北朝鮮はロシアに対して大砲の砲弾だけでなく、長距離ミサイルも提供しています。

長距離ミサイルなのでウクライナから遠く離れたロシア国内から発射することが可能で、しかもローテクなのでウクライナ側としては探知するのが難しいという。

なるほど北朝鮮にとっては、こうしたロシアへの兵器移転は自国製兵器を実践で試すことのできる貴重な機会となっているわけです。

ここのところ北朝鮮が韓国に対して強気にでているのは、そうした背景があってのことでしょう。

一方、ご承知のとおり、我が国の防衛産業は「武器輸出三原則」等により、共産圏や国連決議で武器輸出が禁じられている国、さらには国際紛争の当事国又はその恐れのある国向けはもちろんのこと、全ての国に対して武器の輸出は禁じられています。

武器製造関連設備の輸出については「武器」に準じて取り扱うものとするとされていますが、事実上、武器の輸出は禁止されているわけです。

禁じられているといっても、これは法律的に禁じられているのではなく、あくまでも国の政策によって自主規制しているだけです。

日本の防衛産業が世界市場に武器を売り込めないとなるとどうなるか…

むろん、我が国の安全保障は弱体化します。

現にしています。

何分、今の日本の防衛産業にとっての顧客は「自衛隊」だけです。

しかも問題なのは、PKO以上の部隊参加ができない自衛隊では、日本製の武器が実践で使われるケースがないことです。

今後、防衛力強化によって防衛予算は増えていくことになっていますが、果たしてどうか。

それなりの市場規模が確保されなければ、とくに中小の防衛関連企業は倒産、廃業していくことになります。

自国を防衛する兵器を、自国で調達できない国になってはならない。