低圧経済のままでは国民を守ることはできない

低圧経済のままでは国民を守ることはできない

熱海市で発生した土石流により約20人の被災者が安否不明となっていましが、熱海市によると、海で救助され心肺停止になっていた女性二人の死亡が確認されたとのことです。

今年もまた大雨が原因による被災者と死者が出てしまいました。

大雨が原因とは言いつつも、それを防ぐための公共的な整備は果たして充分だったのでしょうか。

日本は世界にも稀な超自然災害大国です。

ゆえに私たち日本国民は、国土に働きかけなければ国土からの恩恵を得られない宿命を負っています。

弓形に細長い列島には無数の河川が存在し、しかも2000メートル級の脊梁山脈から海へ向け滝のごとく急流で流れていきます。

このような地形でひとたび梅雨前線が停滞すれば、河川の氾濫、水害、土砂災害が頻発しても不思議ではありません。

今から6000年前ほど前に海面が現在より数メートル上昇していた縄文海進という時期がありました。

そのことはその時期は地球がかなり温暖であったことを示しています。

縄文海進以降、海面が低下するときに河川が押し出した土砂が河口部につくり上げた三角州や、河川が氾濫するたびに押し流されてきた土砂が形成してきたのが平野ですので、それらの土地が極めて軟弱地盤であることがわかります。

その軟弱さを知りたくば、ヨーロッパの地盤と比較すればいい。

現在のパリやベルリンなどが位置する場所は氷河期には厚さが何キロメートルにも及ぶ分厚い氷河で覆われていました。

氷河期が終わるにつれて、風化岩をすべて海へ押し流しながら地盤の岩を削っていきました。

即ち、現在の地盤は露出したフレッシュな岩でできていて、その上に成り立っているのがベルリンでありパリです。

このようにヨーロッパ大陸の地盤は、河川が押し出した軟弱な土砂から成る沖積平野に都市が存在せざるを得ない我が国とは根本的に異なるのでございます。

そんな軟弱な地盤が、地震が多発する火山帯の上にすっぽりと乗っかています。

加えて列島の上空には強烈な偏西風が吹いていることから、この弓形の列島に沿って台風が移動して大雨をもたらし、梅雨前線も停滞します。

直近でも私たちは、九州北部豪雨、西日本豪雨、2019年の台風19号で苦い経験をしています。

我が国の年間降水量1668mm/年(2017年)は、OECD加盟国中で第4位です。

その雨が軟弱地盤を一層軟弱にします。

むろん、その豊かな雨が稲作を発展させ日本を豊かな国にしてきたのは事実であり、その意味で大雨の恩恵を享受しています。

とはいえ、繰り返しますが私たち日本国民は「国土に働きかけなければ国土からの恩恵には預かれない」のです。

要するに我が国は他国に比べ、より公共事業におカネを要する宿命を負っています。

にもかかわらず、この30年間にわたって我が国では「日本は公共事業が多すぎる…」という公共事業悪玉論が蔓延ってしまいました。

あろうことか発展途上国型のマクロ経済モデルを我が日本国に当て嵌めて「公共事業は経済効果を産まない」と言い出したのは竹中平蔵氏です。

しかしながら、政府が支出する公共事業費はそのままGDP(国内総生産)になります。

これがフロー効果です。

のみならず、構築されたインフラは数十年にわたって防災機能や交通機能等の効果を発揮します。

これがストック効果です。

現在の日本はインフレ率がゼロ%であり、かつGDP成長率も低い。

これを低圧経済といいますが、低圧経済のままでは国民を守るに充分なインフラが構築されていきません。

これを高圧経済にするためには、何よりも政府による歳出の拡大が必要です。

もしも政府として長期的なインフラ投資計画を実行できれば、それは災害対策にもなり、経済対策にもなり、結果として政府債務対GDP比率が縮小しますので、まさに一石三鳥です。

ぜひ、具現化してほしい。

奇しくも今日は、熊本豪雨から1年を迎えます。