産業政策が求められる日本

産業政策が求められる日本

きのう厚生労働省から、2023年12月の実質賃金指数の確定値が発表されました。

きまって支給する給与については速報値「-1.5%」から確定値が「-1.7%」に、現金給与総額については速報値「-1.9%」から確定値が「-2.1%」に下方修正されました。

下のグラフは前年同月比の推移ですが、ご覧のとおり「きまって支給する給与」については23ヶ月連続のマイナスです。

働く人たちの賃金の上昇が、コストプッシュ・インフレによる物価上昇に追いつかない状態が続いています。

実質賃金の下落は、日本国民の貧困化を意味しています。

テレビのコメンテーターや専門家と称する人たちの多くは「これだけ物価が上昇しているのだから、政府は財政支出の拡大を慎むべきだ…」と主張しています。

あれだけ自信満々にテレビで発言されると、視聴者の中には「ああ、そうなのかな…」と思わず納得されてしまう方々もおられるかもしれません。

でも、騙されてはなりません。

インフレには、デマンドプル型とコストプッシュ型の2種類があります。

彼ら彼女らのほとんどは、インフレには2種類あることを理解することなく、無責任にマクロ経済を語っています。

たしかに歴史上、インフレが止まらなくなった事例はいくつかあります。

例えば…

①ムガベ政権下のジンバブエやソヴィエト連邦崩壊時後のロシアがそうであったように、内戦などの政治的・社会的混乱による場合

②第一次世界大戦後のドイツや大東亜戦争後の日本のように、戦争によって国内の生産能力が破壊された場合。

③アルゼンチンやギリシャがそうであったように、非自国通貨建て債務を返済できなくなった場合などです。

…以上①②③以外の状態において、政府が財政支出を垂れ流してインフレが止まらなくなった事例を私は知りません。

すなわち、①②③のインフレは、いずれもデマンドプル型インフレの事例ではなく、極端な供給力制約を主因とするコストプッシュ型インフレです。

よって、供給能力を引き上げるための官民を合わせた「投資」が必要になります。

といって、現在の日本経済は需要が拡大し過ぎるデマンドプル型インフレではないために民間部門の投資意欲は極めて弱い。

であるからこそ、通貨発行権を有する政府こそが財政支出を拡大して投資(需要創造)しなければなりません。

例えば、エネルギー源の開発、食料自給力や防衛力の向上、あるいは子育て支援などなど、目的を明確にした上で政府が大規模かつ長期的な資金を投入するのです。

これを「産業政策」といいます。