日本のクラウド、日本のベンダー

日本のクラウド、日本のベンダー

きのう、河野デジタル担当相が閣議後の会見で、ガバメントクラウド(政府クラウド)の提供事業者に日本企業を加えることを表明したらしいのですが、決断も対応も遅い。

ガバメントクラウドとは、国の官庁や地方自治体などの行政機関が協同利用するクラウドサービスのことです。

現在、我が国では「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づいて、国と地方公共団体情報システムの統一・標準化が進められています。

例えば川崎市においても、標準化の対象となる「住民記録」や「戸籍」などの20業務を取り扱う現行の13システムについて、ガバメントクラウド上に構築される国の標準仕様書に適合したシステムへの移行に向けて準備を進めています。

クラウドサービスを提供する事業者は、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルという4つの外資企業に限定されていましたので、日本国民の個人情報がこれらの4つの外資が運営するクラウド上で管理されることになるわけです。

当然のことながら、私たち日本国民の個人情報が外資運営のクラウドサービスに管理されることの危険性というものが、多方面から強く指摘されておりました。

私も9月議会で川崎市当局に質問しています。

その際、移行スケジュールについても確認したところ、国が「地方公共団体情報システム標準化基本方針」において目標として掲げている、令和7年度末までの移行を目指しているとのことでした。

取り扱いに慎重さが求められる国民情報を扱うことから、各システムのテスト・検証等や職員への研修実施など、サービス提供に支障をきたさないように環境を整えるための期間を十分に確保しなければならないわけですが、私は13システムを一気に移行せず、安全性を確認しながら漸次的に移行させることを当局に提案したところです。

マイナンバーカードの事例もありますので、システムに支障が生じた場合の対策についても確認しました。

当局としては「支障要因の分析や対応策等の検討を行った上で、移行時期の変更や現行システムの利用延長等を含め、関係局と連携しながら対応してまいりたい…」とのことでした。

因みに、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルが提供するクラウドサービスを利用するといっても、どのサービスが利用できるかはシステムを提供するベンダーに依ります。

例えば川崎市では、標準化の対象となる「区役所事務サービスシステム」や「戸籍総合システム」ついては、いずれも現行のベンダーである富士通Japanのシステムを継続利用する予定です。

よって、ガバメントクラウドについては、富士通Japanが対応可能としているアマゾンのAWS (Amazon Web Services)を利用せざるを得ず、それを前提に既に開発が進められています。

なので、今さら河野大臣から「日本企業のクラウドも加えま〜す…」と言われても対応などできません。

それに、日本企業と言っても複数の企業を入れなければ、国内のベンダーが対応するのも困難でしょう。

そもそも、国民情報をガバメントクラウドによって統一・標準化するのであれば、最初から日本企業のクラウド、日本企業のベンダーを前提にして話を進めるべきでした。