事業者の返済を支えるための財政政策を

事業者の返済を支えるための財政政策を

会計検査院の報告によれば、いわゆる「ゼロゼロ融資」(無利子・無担保融資)で政府系金融機関が貸出した金額は約19兆円(2022年度末時点)で、そのうちの約1兆円が回収不能もしくは回収困難とのことです。

それをメディアが「審査手続きが甘かったのでは…」などと言ってことさらに問題視していますが、いったいそれの何が問題なのでしょうか。

コロナ禍で苦しむなか、ゼロゼロ融資によって救われた事業者はたくさんいるはずです。

審査基準を緩めスピーディに融資したからこその緊急措置であって、もしも厳しくしていたら救える命も救えなかったろうに。

それに19兆円のうち約5兆円は既に返済されています。

たった5.3%が回収できなかったからといって何を言っているのか。

きっと彼ら彼女らには、回収できなかったカネを税金で補填することが何よりも許せないのでしょう。

正しい貨幣観を持たぬ者たちの共通点は、究極的には人の命よりもおカネのほうが大事というところです。

さて、約19兆円は、あくまでも政府系金融機関による貸出しですので、民間の金融機関による貸出しを含めますとおそらく40兆円程度になるかもしれませんが、万が一にもゼロゼロ融資の貸し倒れで経営が悪化するような金融機関がでた場合には、公的資金を入れてでも救済してあげればいい。

東京商工リサーチによると、ゼロゼロ融資後に倒産してしまった企業数は累計で1,077件であり、ことしの4月から9月までだけでも333件とのことです。

ことし4月から9月までで約3分の1を占めているのは、ことしの2月頃からゼロゼロ融資の返済がはじまったからだと推察します。

5月にはコロナの感染症分類が第5類に格下げされたものの、コストプッシュインフレとデフレが併存している最悪の経済情勢が続いているため、経営環境は極めて厳しいはずです。

中には複数の金融機関からゼロゼロ融資を受け、10年で数千万円を返済しなければならないような小規模事業者もいます。

こうした事業者は、少しでも客足(需要)が鈍ると、すぐに返済が行き詰まってしまう可能性があるので、常に不安の中にあることでしょう。

一部の金融機関では「我々は融資するだけではなく、企業の活動に寄り添うことも必要だ…」として、ビジネスマッチングフェアなどを主催し、融資企業の新規開拓を支援しているケースも見受けられます。

実に涙ぐましい努力です。

こうした努力を無にしないために最も必要なことは、コストプッシュインフレとデフレを解消するための経済政策(財政政策)です。

何より、企業にとって最も必要なのは需要です。

安定した需要さえあれば、融資を受けた企業が返済に行き詰まることはありません。

よって、政府は財政政策によって需要不足を埋めねばならない。

また、円安など輸入物価高騰によってコストプッシュが発生している以上、コストプッシュの部分についても政府が吸収するほかはない。