ルサンチマンと全体主義

ルサンチマンと全体主義

本日、総務省から7月の『家計調査』が発表されました。

2人以上の世帯の消費支出は28万1736円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.0%の減です。

これで5カ月連続のマイナスとなります。

主として食料などの生活関連のほか、とりわけ自動車購入の支出額が減ったことが消費を大きく押し下げた要因とみられますが、とくに食料価格の物価上昇が大きく影響しているのではないでしょうか。

一般的な経済理論として、物価(インフレ率)が上昇することは、実質賃金の上昇が伴うかぎりにおいて決して悪いことではありません。

しかしご承知のとおり、今は実質賃金が下がるかたちで食料価格が上昇しています。

そこで、ことのほか厄介なのが、一部の消費財の価格が上昇していることを受け、「すわ、インフレ対策だ!」と言って緊縮財政や金融引き締めを求める人たちがいることです。

例えば、電気代、ガソリン代、輸入食品等の価格を引き下げるためには、どうしても財政出動が必要なわけですが、「インフレ退治…」を旗印にして財政出動が否定されています。

この状況下で財政に緊縮圧力がかかれば、当然のことながら景気は悪化します。

景気が悪化すると法人所得が下落しますので、賃金に下落圧力がかかります。

すなわち、家計においては可処分所得が減るわけです。

これでは、“実質賃金の下落を伴うインフレ”を収束できるわけがありません。

したがって、現状のコストプッシュ・インフレを退治するには、まずは金融緩和を継続しつつ、市場におけるガソリン代、食料品代、電気代についての補助金を財政出動(国債発行)により拡大することです。

もしも今、ガソリンへの補助金がなければ、レギュラー・ガソリンの店頭価格は1リットル200円を超えてしまうほどのインフレ圧力がかかっていますが、政府が元売りに補助金を出しているためになんとか1リットル170〜180円に抑えられています。

これと同じことを、輸入食品や電気料金でもやればいい。

その上で、消費税の減税もしくは廃止をし、災害対策など公共投資の拡大を行えばさらに良し。

因みに世界を見渡しますと、コストプッシュ・インフレが社会に与える影響は極めて大きいことが分かります。

例えば、実質賃金の上昇を伴わない物価上昇は、国民の政治に対する不満を高め、政権(政局)を不安定化させます。

とりわけ、開発途上国での政情は不安定化しやすく、インフレに対して脆弱です。

政情不安で社会が混乱すると、生活物資、エネルギーなどの供給に支障を来し、さらなるコストプッシュ・インフレが引き起こされることになります。

それはさすがに我が国では起こり得ないシナリオですが、とはいえ、あまりにも政治や社会に対する鬱屈たる不満(ルサンチマン)が国民感情の中に充満してしまうと、日本でも再びワンフレーズ・ポリティクスによる悪政が横行する危険性があります。

ナチスのヒトラーも、構造改革に邁進した小泉内閣も、デフレの中から誕生したわけですから。(次は、維新改革か?)

その点、デフレの長期化でも、コストプッシュ・インフレの長期化でも同じ危険性を帯びています。