「財政は厳しい…」を前提にするな!

「財政は厳しい…」を前提にするな!

きのう、地元の障害者福祉団体の総会にお招きを頂き、一言挨拶をさせて頂きました。

お招きを賜り、誠にありがとうございました。

さて、いよいよ来年4月1日からは改正「障害者総合支援法」が施行され、同時に障害福祉報酬の改定も行われます。

来年度の障害福祉報酬の改定は、医療報酬、介護報酬と同時に行われることになりますが、かなりドラスティックに改定されると言われています。

ドラスティックな改定が事実であるのなら、大幅な「報酬の引き下げ…」が行われる可能性が大です。

既に岸田内閣は、防衛力を強化するために2023年度から5年間の防衛費をおよそ1.6倍の43兆円とする方針を決め、防衛増税が検討されているのは周知のとおりです。

加えて、2024年度から2026年度の3年間を少子化対策の集中期間と位置づけ、年間約3兆円の事業規模を確保するための財源確保に必死です。

基本的には歳出改革(他の予算を削って財源とすること)に拠るとしていますが、それでも1兆円が足りないので、社会保険料を上乗せするなどして、やはり国民に負担を求めようとしています。

因みに、歳出改革と社会保険料への上乗せによって財源を確保できるのは2026年以降になるため、それまでは「つなぎ国債」を発行して財源不足を補うとしています。

「つなぎ国債」とは、将来見込まれる特定の歳入を償還財源として発行される国債のことですから、結局は増税です。

このような狂気じみた財政政策を展開しようとしている岸田内閣が、医療報酬、介護報酬、障害福祉報酬をドラスティックに引き上げることなど、とうてい考えられない。

例によって政府の有識者会議は増税を提言し、国債発行を否定しています。

また、これらの財源についての世論調査をみるかぎり、「増税」についても「国債の発行」についても賛成は少ない。

一方、与党の自民党内は増税と国債発行とで意見が割れ、野党は増税反対で共通。

いずれにしても、あり得ない「財政破綻論」を前提に議論されているかぎり、正しい解決策が示されることは絶対にあり得ません。

結局、問題の本質は、財政や貨幣について間違った理解をしている人が多いことです。

当たり前ですが、財政や貨幣についての理解は極めて重要です。

「財政は厳しい…」を前提にするのと、「財政には余裕がある…」を前提にするのとでは、その制度設計は全く異なったものとなります。

障害者支援についても、もともとはそれぞれの障害ごとに制度があり法律が整備されていたのですが、2018年の自立支援法制定以来、法制度も支援サービスも一元化されてしまいました。

これもまた、「財政は厳しい…」から一元化して効率化しよう、となってしまったわけです。

何度でも言います。

そもそも国の財政支出は税収を前提としていません。

政府による国債発行は家計簿的な借金ではなく、通貨発行システムの一形式です。(国債発行残高 = 通貨発行残高)

理解し難いことかもしれませんが、政府は「負債」を創出することで通貨を発行しているのでございます。

即ち、財政需要の高まりは通貨発行需要の高まりに過ぎないわけですから、増税の必要も、社会保険料を引き上げる必要も、医療・介護・障害福祉報酬を引き下げる必要もありません。

正しい貨幣観が日本を救う!