エネルギー自給率を高める投資を拡大せよ

エネルギー自給率を高める投資を拡大せよ

きのう財務省から国際収支統計が発表されました。

それを日本経済新聞が「2022年度の経常収支の黒字が9.2兆円となり、前年度から半分以下に縮小したぁ〜」と報じています。

また同新聞は「円安や資源高でモノの貿易に絡む赤字が過去最大に膨らみ、企業や個人が使う海外IT(情報技術)サービスへの支払い増も止まらない。モノで稼ぐ力は鈍り、外貨を獲得できる次世代産業の弱さが浮き彫りになった」とも。

とにかくどうしても危機を煽りたい、と思うのが新聞社の性(さが)なのでしょうが、日本経済新聞社のみならず日本のマスコミの多くは経常収支の黒字が減るだけでなぜか悪戯に問題視します。

ご承知のとおり、経常収支とは国際収支の一部で、①貿易収支、②サービス収支、③所得収支(第一次所得収支)、④計上移転収支(第二次所得収支)の4つから構成されます。

日本経済新聞が言うように「円安や資源高でモノの貿易に絡む赤字が膨らんだ」のは事実です。

といっても、わが国は、③の所得収支(第一次所得収支)の黒字があまりにも巨額なので、貿易収支が赤字になったところで、経常収支の合計は依然として黒字のままです。

それに、貿易収支や経常収支が絶対に「黒字でなければならない…」などということはありません。

いつも言うように、何しろ黒字の反対側には、必ず赤字があります。

世界には196の国や地域がありますが、その3分の2は経常収支赤字国です。

それは、結果的にそうなっているだけの話です。

例えば、世界最大の経常収支の赤字国は米国ですが、だからといってそれを理由に米国が経済的に疲弊しているわけではありません。

なかには米国の経常収支が赤字であることをもって、「米国は経常収支が赤字であるため、海外からその分の資金を調達する必要がある」などと、全く意味不明な指摘をされる人たちがいます。

少し説明が必要になりますが、国際収支は特殊ケースの資本移転収支や統計誤差(誤差脱漏)を除くと必ず「経常収支=金融収支」になります。

「経常収支=金融収支」もまたGDP三面等価一致の原則と同様に絶対普遍な恒等式です。

よって、経常収支が赤字になると金融収支は自動的に黒字になります。

おそらくは、それをもって「米国は資金を海外に依存している…」と誤解されているのだと推察します。

即ち、金融収支とは、例えば日本が米国に財やサービスを販売し代金を支払われた際、米国の資産(債権)の所有権が日本側に移り、米国国内で様々な形により運用される、といっているだけの話なのでございます。

米国政府が発行するドルは日本国内で使うことができないのですから当然であり、これをもって米国が日本に資金を依存しているというのは大きな間違いです。

今回、わが国の貿易赤字が拡大したのは統計上の事実です。

その要因が円安や資源高にあるわけですから、わが国は速やかにエネルギー自給率を高める投資を拡大するのみです。

むろん、国策として。