経済財政政策の大転換を

経済財政政策の大転換を

昨年6月7日に閣議決定された『骨太の方針』(経済財政運営と改革の基本方針)には、次のような明記があります。

「令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する」

これ即ち、一昨年(2021年)の骨太方針と同じです、という意味です。

では、一昨年(2021年)の骨太方針には、どのような記載があったのか。

要約すると次のとおりです。

「社会保障の伸びは高齢化による自然増の範囲にとどめ、そのほかの伸びを3年間で合計1000億円に抑える」

なんとわが国では、社会保障費以外の予算は年間300億円までしか増額できない、という恐ろしき上限キャップが嵌められているのでございます。

もっとも、この文言には「ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との一文が付記されています。

これは、自民党内の積極財政派への配慮から最終局面で追記されたものと言われています。

なので令和5年度予算では、例えば防衛費は4.78兆円が増額され、あるいは地方交付税交付金が5000億円の増額となっていますが、今後もっとも重要視されるべき分野である、文教・科学新興、公共事業費、食料安定供給については全く増えておらず、エネルギー対策に至っては200億円も減少しています。

何を考えているのでしょうか。

とりわけ、昨年のロシアによるウクライナ侵攻以来、食料やエネルギー安全保障の強化、スタグフレーション対策など、早急に着手しなければならない課題が山積しているわけですから、今こそ経済財政政策の大転換が急がれています。

まさかとは思いますが、今年の『骨太の方針』もまた昨年のものを踏襲するのでしょうか。

もしそうだとしたら、正気の沙汰とは思えません。

今後は、6月に閣議決定される『骨太の方針』でPB(プライマリー・バランス)黒字化目標がどのように位置づけられるかがポイントとなります。

むろん、「2026年度のPB黒字化」という〇〇げた目標をなんとしてでも破棄してもらいたい。