市立病院にアレルギー疾患の専門外来を

市立病院にアレルギー疾患の専門外来を

現在、国民の二人に一人がアレルギー疾患に苦しめられていますが、2015年に『アレルギー疾患対策基本法』が制定されたのをご存知でしょうか。

その2年後(2017年)には、国は当該法律に基づいて「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」を示しています。

指針では6つの疾患が対象とされ、主な基本的施策として、重症化の予防、症状の軽減をはじめ、医療の均てん化の促進、生活の質の維持向上などが謳われています。

これにより全国の自治体で総合的なアレルギー疾患対策が進められることになりました。

因みに昨年(2022年)、指針は改定されています。

ところが、基本法施行以来、川崎市は法律に基づいた新たなアレルギー疾患対策を何ら講じていません。

先月開かれた川崎市議会(予算審査特別委員会)で、私が本市当局に対し「法律施行以来、これまで具体的に何をしてきたのか?」と質問したところ、健康福祉局長は次のように答弁されています。

「これまでの取組としては、乳幼児健診や研修等の機会を捉えて保護者等への適切な情報提供など保健指導をしたり、アレルギー素因の保有者などを対象としたアレルギー相談を行ったり、災害時における食物アレルギーの対応としてアレルギー特定原材料等を含まないアルファ化米や粉ミルクの備蓄などを行ってきた。さらに本市独自のアレルギー疾患対策として、成人ぜん息患者医療費助成制度を行ってきた」

なるほど、このように答弁されると、川崎市はちゃんと取り組んできたのだな、と思われるかもしれませんが、実はこれらは悉く基本法や国が示した指針とは無縁のものです。

例えば、健康福祉局長は「本市独自のアレルギー疾患対策として、成人ぜん息患者医療費助成制度を行ってきた」と誇らしげに答弁されていますが、当該制度は基本法や指針とは全く関係のない理由から創設された制度です。

そこで私は、健康福祉局長に次のように質問しました。

「川崎市は特定のアレルギー疾患にのみ医療費助成を行ってきたが、そもそも基本法や指針は特定疾患にのみ医療費助成しろと謳っているのか?」

健康福祉局長答弁「基本的には謳われておりません…」

健康福祉局長もお認めになっているように、基本法にも指針にも「特定疾患にだけ助成をしろ」などという文言は一つもないのでございます。

国は自治体に対して、基本法に則って総合的なアレルギー疾患対策を進めろとしてきたはずです。

したがって、本来であれば、多様なアレルギー疾患対策を自治体として総合的に、即ち川崎市として国の指針に基づいて総合的に進める必要があったはずですが、健康福祉局長が答弁したものは基本法以前から行われているもので、指針に沿ったものではないのでございます。

要するに、これまで川崎市として基本法に則った取組を進めてこなかったのが実状です。

横浜市にはアレルギー疾患の拠点病院が二つも整備されているのに、残念ながら川崎市には一つもありません。

そこで私は、川崎市の南部(市立川崎病院)と北部(市立多摩病院)に、アレルギー疾患の専門外来を新設することを提案しています。

これもまた、私が力を入れている医療提供体制強化の一環です。