不確実性時代の行政組織

不確実性時代の行政組織

世界は完全に予測不能の時代に入ったと言っていい。

IMF(国際通貨基金)は、世界(対象国143ヵ国)の経済的かつ政策的不確実性を図る指数(WUI)を四半期ごとに発表しています。

上記に掲載したグラフのとおり、新型コロナ・パンデミックが発生した昨年の第1四半期に記録したピークから約60%が低下したものの、依然として1996~2010年平均を約50%も上回っています。

しかしながらグラフをよくみると、新型コロナ・パンデミック以前に、既にリーマン・ショックの頃から世界の不確実性が高まっていたことが伺えます。

世界はもちろんのこと、日本においてもまたしかりで、例えば10年前の東日本大震災以降、台風による風水害等々の自然災害が毎年のように発生しており、なおもやがて来るであろう大地震の脅威に晒されております。

また、火力発電に依存した電力供給はエネルギーミックスのバランスを崩していることから日本国民は毎年のようにブラックアウトの危機に怯えています。

一方、国外に目を向ければ、欧州のソブリン危機をはじめ、SARS感染、ブレグジット、北朝鮮のミサイル問題、NAFTA問題、米中貿易紛争、そして中共の覇権主義に伴って尖閣や台湾海峡を含め、東シナ海や南シナ海での軍事的緊張が高まるなど、この10年間は国外環境も実に慌ただしいものでした。

このように10年間も不確実性指数が上がり続けているのなら、トレンドは完全に不確実性の時代に突入したと言っていいでしょう。

まさにIMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事の言う「不確実性がニューノーマルの時代」です。

であるからこそ国家行政には、不確実性に伴う想定外の事態への柔軟な対応が求められます。

むろん、地方行政もしかりです。

にもかかわらず、これまで我が国の政治行政は不確実性にまったく対応してこなかった。

例えば、不確実性の時代には「選択と集中」「PDCAサイクル」「リーダーの迅速な意思決定」、これらの概念は悉くマイナス作用をもたらします。

現に「選択と集中」は行政とインフラを小さくし脆弱化するのみで国民を危機から済うことができませんでしたし、「PDCAサイクル」はあまりにもプラン策定に時間を要しチェックやアクションをしている間に環境が変わってしまうためにほとんど無力で、「リーダーの迅速な意思決定」は柔軟な組織対応を阻害しました。

要するに不確実性の時代とは、それまで良しとされてきた理論が通用しない時代なのでございます。

ゆえに国も地方行政も、不確実性時代にふさわしい姿に再構築されねばなりません。

不確実性時代の行政組織についても、来週の一般質問で取り上げる予定です。