綺麗事の罪

綺麗事の罪

昨年、北朝鮮は過去最多となるミサイル発射を繰り返し、しかも国際世論に憚ることなく「核保有国宣言」を行いました。

今年もまた、年が明けてからわずか3時間しか経っていないのに、最初のミサイル実験を実施しています。

金正恩総書記は2023年の核兵器製造を「指数関数的に増やす…」としており、その強気な姿勢はとどまることを知りません。

指数関数的に増やすとは、戦略核兵器はもちろんのこと、相当数の戦術核兵器をも製造するということで、要するに「米国を攻撃できるミサイルを増やすのだ」と言っているわけです。

なお、金正恩総書記は小型の戦術核兵器を大量に製造するだけでなく、年内に偵察衛生を打ち上げたいとしています。

2017年以降、北朝鮮は核実験を行っていないので、今年は踏み切る可能性もあるのではないでしょうか。

いよいよ脅威度が増す北朝鮮ですが、専門家たちは米韓との会談が行われる可能性は低いとみているようです。

ご承知のとおりトランプ前米大統領も、そして韓国の前大統領も金正恩総書記と3度も会談を行っています。

むろん、それ以前からも米国は核兵器について30年間にわたって協議し、北朝鮮の核開発にブレーキをかけさせたり、停止させたり、減速させたり、軍縮協定に参加させたりしようとしていますが、応じる気配は一向にありません。

韓国は昨年、北朝鮮の発射実験に対抗してミサイルを発射したほか日本や米国と軍事演習を行い、「もしも挑発行為があれば報復する」と韓国大統領は明言していますが、北朝鮮にはなにも響かないでしょう。

一方、北朝鮮の民政状況は依然として厳しいようです。

ある人道支援団体によれば、3年間つづいている新型ウイルス対策の国境閉鎖が酷い食料不足を招いているようです。

とりわけ、中国でのパンデミックの収束が宣言されないかぎり、北朝鮮が国境を完全に再開することはないでしょう。

きっと多くの餓死者がでているのではないでしょうか。

そんな経済情勢の北朝鮮が「どうしてあのように羽振りよくミサイルだの衛生だのを打ち上げ、核実験を行うことができるのか?」と疑問をお持ちの方もおられることでしょう。

おそらく北朝鮮は、ウクライナ戦争で苦戦するロシアへの武器輸出で相当に儲けているにちがいない。

ロシアが苦戦し、その戦況が長引けば長引くほどに、皮肉にも北朝鮮は武器輸出の需要を失うことがありません。

ロシアはルーブル建てで北朝鮮からミサイル等の武器を購入し、武器を売った北朝鮮はルーブル建てでロシアから穀物やエネルギーを購入することができます。

むろん当局は、民衆による反乱が起きない程度(生かさぬよう殺さぬよう)に穀物やエネルギーを配給しているはずですが。

これからも金正恩総書記は武器輸出で儲けたカネの多くを軍事力増強に振り向けていくことでしょう。

結局、自由貿易だの、民主主義だのと合理的価値観を強引に世界に普及しようという米国のリベラル外交戦略が、ここでも裏目にでていることがわかります。

米国は、自由貿易や民主主義などの合理的価値観を普及させるためにNATOの東方拡大を画策してきました。

しかしながら、NATOの東方拡大に反発したロシアがウクライナに侵攻、そのことが北朝鮮を潤わせて極東アジアに核拡散の脅威をもたらしています。

その脅威に、日本はもちろん米国も手を焼いています。

いつの時代でも、世の中を悪くするのは「綺麗事」を言う人達です。