政治家自らの責任と重みを負って…理解してもらいたい。

政治家自らの責任と重みを負って…理解してもらいたい。

岸田首相が防衛費増額の財源として増税を考えていることに関して「国民自らの責任として重みを負うべき…」みたいな発言をしたため、ネット上などで批判が相次いでいます。

さっそく松野官房長官が「あれは国民の皆さまにご協力をお願いする趣旨だった」(昨日午後の会見)と首相に代わって言い訳をしています。

とはいえ、「ご協力をお願いする趣旨…」と言っている点において、松野さんの発言もまた言い訳にすらなっていません。

総理は「国民の責任として重みを背負って増税に耐えろ…」と言い、官房長官は「増税のご協力を…」と言うけれど、そもそも税収は財源ではございません。

そこのところは、政治家自らの責任と重みを負って…理解してもらいたい。

今回の防衛増税をめぐって自民党内はゴタゴタになっているようですが、増税の推進派にしても、慎重派にしても、詰まるところ「税収=財源」という点では一致しています。

ふつうに国債を発行すればいいだけなのに、こんなことで国政が停滞するのは実に馬鹿げています。

さて、直近の『資金循環統計』(日銀)で日本国家のバランスシートをグラフにしてみたら、我が国の対外純資産が444兆円にまで増えていました。

個人金融資産も2000兆円を超えています。

「このまま国債を発行し続けると、いつか日本は破綻するぅ〜」と言われ続けて、はや30年。

たしかに国債残高はそれなりに増えてきましたけど、残念ながら未だ一向にXデーは来ない。

あるいは「今は対外純資産があるから良いけれど、これを食いつぶしたら日本は終わる…」と言っていた国会議員もいましたが、そのころの対外純資産は320兆円ぐらいでしたが、今や444兆円にまで増えています。

むろん、日本の対外純資産が増えているのは、我が国が対外にもっている莫大な資産からあがる所得(経常収支)が増えているからです。

経常収支の黒字が対外純資産を増やし、対外純資産がまた経常収支を増やすというかたちで増え続けているわけです。

また、竹中なにがし先生もかつては「今は1600兆円の家計の金融資産があるから良いけれど、やがてこれが枯渇したら日本は国債を発行できなくなる…」と言っていましたが、ご覧のとおり、家計の金融資産もまた2000兆円にまで増えています。

家計の金融資産が2000兆円を超えたのは、その分、政府が国債を発行して財政支出を拡大しただけのことです。

要するに、竹中なにがし先生の理解は順番が間違っていて、国民が貯金を増やすから政府が国債を発行できるのではなく、政府が国債を発行しているから国民の貯金が増えているのです。

そもそも対外純資産が減ろうが増えようが政府の国債発行になんの関係もありませんし、政府の国債発行は家計の金融資産を原資にしているわけではありません。

そこにある事実は、誰かの負債は必ず誰かの資産であり、誰かの支出は必ず誰かの収入であるということだけです。

いつも述べているとおり、国内のモノやサービスを生産する力があるかぎり、政府の国債(通貨)発行に制約はないのでございます。