情報・兵站力の強化を

情報・兵站力の強化を

きのう岸田総理は、防衛費の増額や財源を議論するための「有識者会議」の新設を表明しました。

9月下旬には初会合を開く予定とのこと。

有識者会議の名称は『国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議』となるようですが、委員の人選がどうなるのか心配です。

今年は年度末までに、①国家安全保障戦略、②防衛大綱、③中期防衛力整備計画、というそれぞれに重要な公文書を改定することになっています。

①は我が国の外交・防衛の基本方針を明確にするもの、

②は10年で保有すべき防衛力を規定するもの、

③は5年間の防衛費の総額を明示するものです。

ご承知のとおり、台湾問題を含め我が国をとりまく安全保障環境が厳しさを増していることもあり、我が国の防衛力が5年以内に抜本的に強化される見通しです。

これはこれで喜ばしいことです。

ゆえに私の解釈では、防衛費については『骨太の方針』(閣議決定)によって縛られている「プライマリーバランス黒字化目標」という財政制約とは別枠で扱われてしかるべきと考えます。

ご承知のとおり『骨太の方針2015』では「安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続していく」ことが謳われており、同時に「国の一般歳出の水準の目安については、安倍内閣のこれまでの3年間の取り組みでは一般歳出の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続させていくこととする」とも謳われています。

少し解りにくいかもしれませんが、要約すると次のとおりです。

「社会保障費以外の予算(公共事業、教育、防衛、地方交付税交付金、経済政策等々)については、3年間で1000億円程度(年間で333億円程度)までしか予算の伸びを認めませんよ!」という上限枠(キャップ)が、『骨太の方針』ではめられているわけです。

このキャップは『骨太の方針2022』に至っても継承されていますので、これを前提にしたら5年以内に防衛費をGDP比2%にまで増額することなど到底不可能です。

なので防衛費については「別枠扱い」でなければならないわけです。

今後、防衛予算が増えていくとして、どのような項目にその増加費用をあてるのかが極めて重要です。

省内では、先ず統連合作戦をしっかりと定め、その作戦遂行に必要なものを割りだし、これに基づいて人員増・編成装備をはかるべきだという意見があるようです。

とはいえ、例え予算を増やしたとしても、以前に当該ブログでも指摘したような理由から、あるいは生産年齢人口比率の低下等の理由から、思うようには隊員募集ができない昨今でもあります。

また、「統連合作戦」の中核となる在日米軍の動きも中長期的には不明確だと聞く。

ここはやはり、これまで軽視されてきた情報・兵站力の充実のために主たる予算を割くべきではないでしょうか。

尖閣などの無人島、与那国などの有人島防衛においても、我が国の情報・兵站力の不足は既に明らかです。

まずは『国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議』の選任されるメンバーには、ぜひともプロの観点から有意義な結論を導いてもらいたい。