現金紙幣は日銀の負債

現金紙幣は日銀の負債

おカネ(貨幣)とは何か?

定義すると次の3つになります。

1.債権・債務の記録であること
2.単位があること
3.譲渡性があること

いずれの一つでも欠ければ、それはおカネ(貨幣)とは言えない。

例えば、千円札であれ、五千円札であれ、一万円札であれ、現金紙幣はそれを保有する者にとっての資産であり、日本銀行にとっては債務になります。

即ち、債権・債務の記録です。

むろん、円が単位であり、かさばらないので売買の際には手軽に譲渡できます。

このように債権・債務の記録で、加えて単位と譲渡性があれば立派なおカネです。

それがべつに金や銀など「貴金属」などの物質である必要はない。

当該ブロクにおいて貨幣を「お金」ではなく「おカネ」と記載しているのは、そうした誤解を避けるためです。

おカネが債権・債務の記録である以上、債権(資産)の裏側には必ず「誰かの債務(負債)」がなければなりません。

それを解りやすく証明してくるのがバランスシート(貸借対照表)です。

バランスシートとは、その経済主体の一定時点での財政状態を明らかにするために作成される計算書のことです。

そこには、その経済主体が保有する全ての資産(債権)、負債(債務)、そして純資産(資産ー負債)の金額が記載されており、簡便に一覧することを可能にしてくれます。

バランスシートでは、左側を「借方」と呼び、右側を「貸方」と呼びます。

借方には資産(債権)が、貸方には負債(債務)がそれぞれ計上されます。

なお、資産から負債を差し引いてプラス化する場合には「貸方」に純資産が、マイナス化した場合には「貸方」に純負債が計上されます。

ゆえに、借方の合計と貸方の合計は必ずバランスします。

だからバランスシートと呼ばれているわけです。

実は、このバランスシートこそ「債務と債権の記録」です。

『資金循環統計』から、中央銀行である日銀のバランスシートを見ることができます。

ご覧のとおり、2021年9月末の時点で、日本国内には総計122兆円ちかくの現金が流通していることが解かります。

皆さんのお財布に入っている現金紙幣は、日本銀行の負債122兆円の一部です。

むろん現金紙幣は紙片という形を持っているモノになります。

とはいえ、おカネの本質は紙でもなければモノでもありません。

バランスシートに掲載されている数字としての「債務」の記録なのでございます。

逆に現金紙幣を保有している皆さんのバランスシートには「債権」として現金紙幣が記録されていることになります。

なお、おカネには現金紙幣のほかにもう一つ「銀行預金」があります。

例えば、Aさんという人がB銀行の口座に10万円の預金を保有している場合、B銀行のバランスシートの貸方(負債)には10万円が計上され、Aさんのバランスシート借方には資産として銀行預金10万円が計上されることになります。

債務と債権は同じコインの裏返しですので、日本国内の預金取扱銀行(主として銀行)のバランスシートには、膨大な銀行預金が「負債」として計上されています。

因みに銀行預金には、①流動性預金、②定期性預金、③譲渡性預金の三種類があります。

流動性預金は普通預金のことで、定期性預金はその名のとおりで、譲渡性預金とは企業が決済用に保有する高額の譲渡可能定期預金証書を意味しています。

国民や企業の銀行預金は、必ず上記3つの預金のいずれかとして銀行のバランスシートに「負債」(貸方)として計上されています。

私たちは日常的におカネを資産(債権)としてしか利用しません。

しかしながら、その一方で資産(債権)というおカネの裏側に、必ず誰かの負債(債務)としてのおカネが存在しています。

そしてバランスシートは、負債が返済されると縮小します。

即ち、政府と企業と家計、それぞれの経済主体が一斉に負債(借金)を返済してバランスシートを縮小すると日本経済そのものが縮小します。

まさに日本経済がデフレに陥ってしまったのは、それが理由です。

逆に、企業や政府の負債が拡大することで経済は拡大します。

それらの負債が消費や投資に費やされるからです。

デフレ経済という「総需要の不足経済」が続くかぎり、企業は負債を拡大し難い。

おカネが「債権・債務の記録」であることを理解すると、デフレ経済の今、政府が行うべき政策が自ずと見えてきます。

見えてこない為政者は、おカネとは何かが理解できていない証拠です。