ワクチンと情報リテラシー

ワクチンと情報リテラシー

世界の人口の半数以上が新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回、打ち終わりました。

とはいえ、接種率は地域で大きく異なっています。

例えば低所得国では接種率は10%未満です。

ワクチン供給はなお多くの国で大きな問題となっています。

しかしワクチンが手に入る状況でも接種が不安だという人が大勢います。

ワクチンに対する懸念には次のようなものがあります。

まず、ワクチンが作られたスピードが早すぎること。

たしかに今回の新型コロナワクチンは記録的な速度で作られました。

ただし、作るにあたって必要な段階を飛ばしたからでも慌てて研究したからでもないはずです。

世界中の多くの科学者と企業が研究結果を共有していたわけですし、製薬関係の専門家からも「安全性についても徹底的な調査がなされている」と仄聞しています。

一般的な副反応を見つけるために、まず数十万人が治験に参加します。

さらに一般市民への大規模接種でも慎重にモニタリングされており、稀に起きる副反応についてもチェックされています。

前述の専門家によれば「この世に副反応のない薬など存在しない」とのことです。

今でも研究やモニタリングは続いています。

それでも例えば、何の問題もなくワクチンを接種した人に、数ヶ月後や数年後に突如として症状が出る場合はあるのでしょうか。

ワクチンと免疫の研究者らは「その可能性は非常に低い」と言っています。

人体の仕組みへの理解は私ども素人が考えているよりことのほか進んでいるらしい。

以前のワクチンの経験からも、あらゆる副反応は最初の2ヶ月前後で起きることが解かっているという。

可能性のある副反応が起きるには、すでに充分な時間が経っているのだとか。

次いで、ワクチン反対論で多いのが「ワクチンを打った人でも大勢が新型コロナに感染しているではないか…」というものです。

これも、よく考えてみれば答えは明らかです。

病気を100%防いでくれるワクチンなど、この世に存在しません。

重要なのは、たとえ発症しても軽症で済む可能性が高い点でしょう。

現にワクチンは高い確率で重症化や入院を防いでくれているわけですから。

それは新たな変異株に対しても、です。

「感染する可能性はまだありますがそれも低くなる」と指摘する専門家もいます。

なお、ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染しても、他人に感染させる確率が低くなり周りの人々を守ることができます。

また、妊娠中のワクチン接種についても多くの不安の声が上がっていましたが、懸念される副作用は今なお発見されていません。

大規模調査によると、未接種の人に比べて流産など合併症が起きやすくなるというエビデンスはないようです。

ただ、妊娠中に新型コロナに感染してしまうと、そうしたリスクは上昇するのだそうです。

とくに妊娠後期の場合、重症化のリスクだけでなく早産や死産のリスクも高まるというのですから恐ろしい。

ワクチン接種で将来の妊娠に影響が出ると心配されている方々も多いようですが、この説を裏付けるようなデータや科学的根拠もないという。

一方、新型コロナワクチンを接種した際、ごくまれに重い副作用が起きるケースがあります。

それでも長期的な健康問題や死亡のリスクは、ワクチンよりも新型コロナウイルスのほうがはるかに高いようですので、ワクチンを接種するかどうかを決めるときは、こうしたリスクと利益を天秤にかけるべきだと思います。

少なくとも、ネットやSNS上に流れている根拠なき無責任情報に振り回されないように注意が必要です。