経済成長の必要性

経済成長の必要性

デフレについて、いまなお多くの誤解があります。

とりわけ団塊世代の年金生活者に多いのですが、「デフレのほうが物価が安くて暮らしやすい。だからデフレのままで何がいけないのか…」というご主張です。

そしてその延長で「日本は豊かになったのだから、これ以上の経済成長(GDP成長)は必要ないのではないか…」とくる。

失礼ながら団塊の世代(昭和22〜24年生まれ世代)は、もっとも戦後の高度経済成長の恩恵を受けた世代かと思われます。

毎年、着実に給料(実質賃金)が上がり、多くの人々がマイホームをもち、多様な消費生活を楽しんできたはずです。

※実質賃金 = 物価の影響を除いた賃金のこと

翻って、昭和末期から平成以降に生まれた若者たちは、デフレ経済しか経験しておらず、給料が毎年上がっていくインフレ経済の世の中を知らない。

加えてデフレ経済と構造改革がもたらす格差の拡大によって、多くの若者が家も車も買えず、経済的理由から結婚する機会すら失っています。

合計特殊出生率が低下する一方で有配偶出生率は上昇していることからも、そのことは明らかです。

我が国では1990年代はじめにバブルが崩壊し、さらに’97年に橋本龍太郎政権が消費税増税、公共投資削減といった緊縮財政に踏み切りました。

結果、経済はデフレ化し、国民の実質賃金がひたすら落ちていくという惨状になりました。

我が国の実質賃金は、なんと’97年と比較して2020年までに14%も下がってしまったのです。

実質賃金の下落とは、国民の貧困化そのものです。

なお、実質賃金が下落していく状況で、消費や住宅投資を増やす人はいません。

さらには顧客や市場が拡大しない環境下、すなわち需要が不足し続ける環境下で、設備投資に乗り出す経営者などいません。

人口の大多数を占める生産年齢人口(15〜64歳人口)は、消費者であると同時に生産者です。

物価が下がると同時に給料が下がり、給料が下がるから消費を拡大することができずにまた物価が下がる。

これこそがデフレスパイラル、つまり国民の貧困化スパイラルです。

だからこそデフレを払拭する必要があるわけです。

デフレが払拭されれば確かに物価(インフレ率)は緩やかに上昇していきますが、年金制度には物価スライド制が組み込まれており、物価の上昇具合に応じて自動的に年金額が改定されるようになっています。

なので心配しないでもらいたい。

それに、デフレを払拭できなければ生産性向上に基づく経済成長(GDP成長)は不可能です。

当然のことながら、GDPが成長しないと実質賃金は上がらない。

それよりも、自国のGDPが低迷し続ければ、GDPを拡大し続ける隣国に飲み込まれることになります。

冒頭のグラフのとおり、日本のGDPは1997年以降、横ばいが続いています。

反対側で、中国のGDPは、’90年代には「誤差」のような数字だったのが、その後はひたすら上昇しています。

いまや我が国のGDPは中国の三分の一水準にすぎません。

GDPは三分の一ですが、我が国の国防費(軍事予算)は中国の十分の一です。

中国がGDPを拡大し続ける反対側で、今後も日本のデフレが継続しGDPが拡大しなかった場合、2028年時点で、中国のGDPは日本の5倍水準に達するとみられています。

となると、軍事予算はおそらく15倍になるでしょう。

日本の15倍の軍事予算を使う権威主義的国家に対し、私たち日本国民はいかにして立ち向かえばいいのでしょうか。

要するに、経済成長(GDP成長)しなければ、やがて中国に飲み込まれるのです。

それでもまだ「経済成長など必要ない…」と思われるのでしょうか…