国債と金利と物価

国債と金利と物価

現職の財務省事務次官が、その職名をもって『文藝春秋』に間違いだらけの財政論を掲載するという歴史的事件がおきましたが、そんな事務次官をフォローするかのように日本経済新聞が次のような記事を書いています。

『20年度の国債依存度、46%に上昇 大型補正で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA225KZ0S1A221C2000000/
2021年度補正予算が成立し、歳出を借金でどのくらい賄っているかを示す同年度の国債依存度は46%に達した。近年は消費増税などの影響で税収の増加が続くものの、大型の補正予算の編成が常態化し、国債頼みに歯止めが利かなくなっている。(後略)』

例によって「このままではハタンするぞぅ~」というニュアンスが伝わってきます。

上の記事の部分だけでも突っ込みどころ満載です。

「近年は消費増税などの影響で税収の増加が続くものの…」と言うけれど、消費増税そのものが経済成長を抑制していることから全体としての税収は伸び悩み、その分を国債によって賄っているという格好です。

我が国経済を長期停滞させている要因の一つは、間違いなく「消費税の増税」です。

どうしても税収を増やしたかったら消費税を廃止するか凍結するかしたほうがいい。

それに「2020年度の国債依存度が46%に達した…」ことに、何か問題でもあるのでしょうか。

国債を増発したからといって、財政破綻論者たちが言うような金利の高騰や制御不能なほどのインフレなど発生していません。

10年物新発国債の利回りはたったの0.060%(12月22日)です。

それを日本経済新聞は「新発10年物国債の利回りが上昇し、12月2日以来およそ3週間ぶりの高水準を付けた」とやる。

『長期金利、3週ぶり高水準 0.060%
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB227ZB0S1A221C2000000/
22日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(価格は下落)し、前日比0.010%高い0.060%と12月2日以来およそ3週間ぶりの高水準を付けた。(後略)』

因みに、1980年代後半のバブル経済のころの長期金利は20年物で、約7%でした。

あのころ(7%のころ)に「日本は破綻するぅ~」などと言っている人がいたでしょうか。

0.060%のどこが「高水準」なのか理解に苦しみます。

このような超低金利状態にあってもなお、経済学者の小林慶一郎氏によれば「それでも何か想定外な材料でマーケットが反応し」日本は破綻するのだそうです。

何か想定できない材料とは、いったいどんな材料なのでしょうか。

一方、インフレ率をみますと、コアコアCPIはマイナス0.7%(10月)です。

制御できないほどのインフレどころか、マイナスですよマイナス。

インフレ率がマイナス化しているのですから、政府の財政支出(国債発行)が足りていないとみるべきです。

何度でも言います。

政府の国債発行は、金利や民間資金の制約を受けません。