三文学者の奴隷たち

三文学者の奴隷たち

過去を振り返り歴史の叡智を学び、失われつつあるものを惜しみ、良きものを破壊から守る。

これを保守という。

その意味で、現在の我が国には保守政党は存在しない。

それどころか、一時的な流行に走って改革を叫び、失われつつあるものを惜しまず良きものを破壊し、国民国家という共同体としての一体感を分断させ国を衰退させている政治勢力が跋扈しています。

1980年代以降の自民党がそうであり、最近では日本維新の会や大阪維新の会がその急先鋒です。

この種の政治勢力を支えている政治経済思想がこそが新自由主義(ネオリベラリズム)です。

例えば、テレビのコメンテーターとしてご活躍中の橋下徹氏は政府のコロナ対応について様々に諫言されていますが、ご自身が大阪知事、大阪市長だったころは何をされていたか。

何よりも医療福祉を切り捨てた罪は大きい。

彼は公立病院や保健所を削減したほか、医師や看護師などの病院職員、そして保健所など衛生行政に関わる職員を大幅に減らしました。

こうして発生した医師や看護師、保健所の人手不足、脆弱な検査・医療体制が新型コロナ感染により大阪での医療逼迫を招いたのは明らかです。

これを改革と称して「黒字になった」とやる。

結局、政治の役割についても、経済の役割についても何も理解をされていないのだと思われます。

維新の会の基本戦略は、公(既存秩序)に関わるものを叩いて社会に蔓延するルサンチマン(鬱屈とした不満)を回収することです。

それによって支持基盤を拡大していく。

まるで毛沢東みたいだ。

毛沢東を支えた思想がマルクス・レーニン主義であったのなら、維新の会を支えている思想は新自由主義だと言っていい。

ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』のなかで、次のように述べています。

「どのような知的影響とも無縁であると自ら信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。権力の座にあって天声を聞くと称する狂人たちも、数年前のある三文学者から彼らの気違いじみた考えを引き出しているのである」

なるほど、どんなに「俺は現場主義だ」などと言っている政治家や実業家といえども、数年前のある三文学者の奴隷となってその気違いじみた考えを引き出しているわけですね。

数年前のある三文学者とは、〇〇エクや〇〇〇ドマンのことか。