令和8年3月9日の川崎市議会において、川崎市北部医療圏の病床問題について質問しました。
私はこれまでも、特に北部医療圏において回復期病床や慢性期病床が不足していることが、地域の救急医療体制に影響を与えている可能性について指摘してきました。
急性期治療を終えて病状が安定した患者が移るべき回復期や療養病床が不足すると、急性期病院の病床が埋まったままとなり、新たな救急患者を受け入れにくくなるケースが生じます。
つまり、回復期等の病床不足は、結果として救急医療の受け入れ能力にも影響する問題なのです。
この点は、川崎市南部医療圏の事例からも示唆されています。
南部では2012年に特定の医療機関を重症患者救急対応病院として位置付け、24時間365日体制で救急医療を支える取組が進められてきました。
その結果、救急搬送時の現場滞在時間が30分を超えるケースの割合は着実に減少してきました。
このことは、地域の医療体制において、病床の配置や機能のあり方が救急医療に大きく関わることを示すものです。
一方、川崎市北部医療圏では、令和7年4月1日時点で基準病床数4,279床に対し、既存病床数は4,130床となっており、149床の不足が生じています。
現在、この不足を補うための病床整備について、公募による整備の検討が進められています。
そこで私は、今回の公募においてどのような病床機能を想定しているのかを確認しました。
市の答弁によれば、公募の対象として想定しているのは次の病床機能です。
・急性期治療を終えた患者のリハビリなどを担う回復期機能
・長期療養を必要とする患者を受け入れる慢性期機能
これは、神奈川県の地域医療構想において、川崎地域では将来、回復期機能を中心とした病床が不足すると見込まれていること、さらに本市でも今後急速な高齢化が進むことが背景にあるためと説明されています。
一方で、この問題については、一部の医療関係者から次のような意見があると聞いていました。
「国は全国的に病床削減の方針を示しているのだから、北部医療圏の不足を埋めるために増床する必要はないのではないか」
この点について事実関係を確認するため、市に見解を求めました。
市の答弁では、確かに国には「病床数適正化支援事業」という制度があり、病床削減を行う医療機関への財政支援は存在するものの、北部医療圏のように基準病床数に対して既存病床が不足している地域について、国が一律に増床を抑制する方針を示した事実はないとのことでした。
つまり、「国が増床を禁止している」という理解は事実ではないということが、今回の質疑で明確になりました。
私はさらに、首都圏では団塊の世代が後期高齢者となることで急速な高齢化が進む一方、人口当たりの病床数が相対的に少ないことが救急搬送の受け入れに影響する可能性が指摘されている点を踏まえ、北部医療圏における回復期等病床の確保は重要な課題ではないかと問いただしました。
これに対し市は、
・急性期治療後の患者を受け入れる回復期等の病床は不可欠である
・在宅医療や介護施設への退院支援、急変時の受け入れのためにも重要である
・議論が進められている救命救急センターと連携することで地域の救急医療体制の強化につながる
としたうえで、北部医療圏における回復期等病床の整備は重要な課題であるとの認識を示しました。
私は質問の最後に、急速な高齢化が進む北部地域において、救急搬送から急性期医療、回復期医療、そして在宅医療へと切れ目なくつながる医療提供体制を整えることが地域医療を支えるうえで重要であることを指摘し、必要な病床機能の確保に向けた取組を着実に進めるよう要望しました。
北部地域の医療体制は、今後の川崎市の高齢化の進展とともに、ますます重要になっていきます。


